ECG-233:answer
30才代女性、労作性呼吸苦での来院です。以前より診断は確定されております。
この心電図を見て、
「あっ、右室肥大ですね。なんか先天性心疾患ですか?」
と、すぐに思われた方は、ここでお終いです。
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どうしてそうなの?と迷われた方は、以下お読みください。その理路を、ご説明します。
◎ この右脚ブロックパターンを、タダのRBBBと思うか、右室肥大と思うかが、ポイントです。
クリックすると、ECGが拡大します。
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* V1-6の高電位R波。下壁誘導にもある高電位R波。ST-T変化も、RVHの反映です。
*どうして、そう云えるのか?以下の図を見て下さい。
クリックすると、ECGが拡大します。
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◎通常のCRBBBでは、後半のR波(late-R)は遅れた右室の興奮波形です。V3-6と左室側に移るにつれて、その波高は低下し、最後に幅の広いS波になります。
◎RVHの状況では、右室は肥大と拡大を示し、左室は背側に追いやられます。下壁側まで右室となります。CRBBBと異なり、late-R部分が高いままです。胸部誘導の高電位R波とST-T変化は、RVHの反映なんですね。
*P波をみると、尖って右房性Pを感じます。でも、感度も特異度も高くないので、参考所見と思いましょう。
この症例は、TOF・PDAで未手術での成人例でした。今まで外科介入が行われなかったのは、また別の物語です。
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TOF:Tetralogy of Fallow(ファロー四徴症)
PDA:patent ductus arterioles(動脈管開存症)
*胸部レントゲンでの「木靴様」心陰影。 (青色の矢印)
*胸部CTでの肺動脈のatresia. (赤い矢印)
*上行大動脈の拡大〔血流増加による〕 (黄色い矢印)
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