ECG-246:answer
60才代男性。夜の胸痛です。
派手な心電図ですね。全ての誘導でST-T変化を認めます。
グループ化して、まとめてみましょう。
(A) II, III, aVF のST上昇が、メインです。
ST上昇は、III>II です。
(B) V4,5,6 で、STが上昇しています。V5,6 で、ST上昇は明瞭です。
(C) I, aVL のST低下が、認められます。
(D) V1,2,3 で、STが低下しています。
(E) あと、P波がハッキリしません。徐脈でRR間隔は整です。
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ACSだと判断した場合で、ST上昇と低下が両方あれば、ST上昇部分が、責任病変です。
(A)と(B)より、下後壁のACSと考えます。
→ST上昇はIII>IIで、たぶんRCA病変。
(C)は、下壁のACSに対するミラーイメージST低下です。
(D) は、後壁のACSに対するミラーイメージST低下です。
(E) は、RCAのACSで、よく見かける所見です。この症例では、直接的洞房結節枝への虚血はありません。迷走神経の過緊張による徐脈と、されています。
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この症例の緊急アンギオの所見です。
(PCI前の造影)
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右冠動脈(RCA)の#3の完全閉塞でした。PCIで解除しています。
虚血領域は、下壁/後壁/側壁の領域です。小さくありません。
CAGを見ると、回旋枝が大きくない。相対的に、右冠動脈の支配領域が、大きくなっています。
これが、心電図変化を多様にしている原因でしょう。
同じ下後壁の虚血でも、その冠動脈・閉塞位置・支配領域・体型の個体差・発症からの時間・基礎疾患の併存等で、心電図はバリエーションを示します。
連続して、いろんな虚血心電図を提示しました。これからも、です。
いろんなパターンを見て、目を慣らして下さい。
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