ECG-248:answer
80才代女性が、誤嚥性肺炎で搬入されました。
ここまでは、異論は無いかと思います。
心電図は、心房細動です。
P波の欠如・RR間隔の絶対性不整・f 波の存在。
これも、異論は無いかと思います。
問題は、ST-T変化です。
* V1での明らかなST上昇がありません。
* V3,4では、明瞭なST上昇あります。
* V5,6では、T波の陰転化を認めます。
◎ aVRで、ST低下があると、たこつぼ心筋症に典型的なのですが、むしろちょっと上昇しているようです。そう、都合のいい心電図はない。。
◎ aVRの陽性T波。V5,6の陰性T波のミラーイメージでしょうか。
悩んでも仕方ないので、すぐに心エコーです。
心尖部が瘤となり、心基部は過剰運動しています。
典型例ですね。Apical ballooningです。
トロポニンT(I)値は少し上昇しますが、CPK値はさほど上昇しません。血流停止による心筋壊死では、ないからですね。
経時的変化を、示します。
4時間ので、胸部誘導での陰性T波の拡がりを認めます。
24時間後では、典型的な giant negative T を示しました。
たこつぼ心筋症の心電図は、目まぐるしく変化します。CPK値が高値になるのを、鑑別のために待ってはいられません。緊急冠動脈造影は、ACS否定のために施行あり、です。心エコーでは、ACSか・たこつぼか、よくわかんない例も実際あります。
たこつぼ心筋症は、その成因は今も明瞭ではありませんが、ストレスが引き金となり得ることは、わかっています。
脳血管障害・内視鏡検査・大震災・肺炎、、何でもありです。
ERでは、裏に隠れた疾患に、留意して下さい。
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