ECG-252:answer
ふらつく80才代女性でした。
これほどの徐脈であれば、ふらつくのも無理ありませんね。
33bpmです。整脈です。
では、心電図診断です。
クリックすると、ECGが拡大します。
*徐脈ですが、RR間隔は、整です。
*P波がありません、見えません。
*基線がフニャフニャしています。規則性のない揺れ。
*CRBBBです。
*高カリウム血症のような尖りTなし。
*異様なST上昇/低下無し。
心房細動患者に発生した完全房室ブロックと考えるのが、妥当だと思います。
心エコーでの壁運動障害は、ありません。左房もあんまり大きくない。
CPK,心筋トロポニン値の上昇も、ありませんでした。高カリウム血症も認めません。BNP値は、僅かに上昇。冠動脈造影では問題を認めず、一時ペーシングを経て、永久ペースメーカー植え込み(VVI)となりました。
完全房室ブロックは、白熱電灯がブッチと切れるように、いきなり起きることが、殆どです。少なくとも、そうやって循環動態が壊れてしまった方が、ER緊急受診となります。
なお、双極リードがほとんど全ての現在では、pacing spikeはとても小さいです。心電図を読むとき、気をつけて下さい。
PaceMaker本体も、とっても小さい。ふくよかな方だと、胸部を見ても気付かない時あります。当院は、形成外科医がポケット形成したりするので、手術創も見落としそうです。
完全房室ブロック(心房細動付き!)では、薬物性の徐脈(ジゴキシン、CCB、β-blocker等)・ACS・高カリウム血症を除外しつつ、一時ペーシングを考慮して下さい。
永久ペースメーカーの適応は、それからゆっくり考えましょう。