ECG-268:answer
先天性心疾患:ASD (Atrial septum Defect)ですね。
心エコーで、
* 右心系が拡大している。
* カラードプラで、左房→右房への短絡血流が、きれいに描出されている。
これだけで、診断は、確定的です。
胸部レントゲンは、正面像しかないので、言い切りは難しいのですが、肺動脈が全体的に、拡張しているようです。本当は、CT断層画像が欲しい。
収縮期雑音(ralative PS)と、II音の分裂があります(wide-QRSなので、当然かもしれません)。固定性分裂かどうかは、よく分かりません。
上記を知った上で、もう一度12誘導心電図を、見てみましょう。
クリックすると、ECGが拡大します。
う~ん。IRBBBのみですね。
ASDならば、右心負担像があると、話が早いのですが。。
* 右軸偏位がない。
* Pulmonary-Pがない。
* 胸部誘導のCWR(=右心系拡大)がない。
* Crochetage pattern は、あるような、ないような。
(Crochetage patternて、何なのよ?→次回コラムへ。)
心電図のみから、積極的にASDを疑うのは、困難だと思いました。
この患者さんは、心不全・不整脈等の循環器的問題を抱えていませんでした。今後の事を考えて、心臓外科 or/and カテーテル治療の出来る施設への紹介としております。TEE等は、当院で行っておりません。
さて、ここで一旦お話しは終了ですが、そもそもIRBBBって、何なのよ?と云う内容に移ります。
不完全右脚ブロック(IRBBB)は、完全右脚ブロック(CRBBB)になる途中経過なのか?
必ずしも、そうではないと思われています。(ココは、エキスパート・オピニオン的ですが)
特にASDのように、明らかな右心への容量負担がかかる場合には、右心系への負荷が、右室の収縮時間を延ばして、V1のrSR`パターンや幅の狭いV6 のS波が出現するとも、考察できます。
だからと云って、IRBBB→ASD除外→心エコー(TTE/TEE)の施行は、あまりにcost-performanceが悪すぎます。普通は、IRBBBは意義の少ない所見として、スルーするのがお約束です。
小児科の領域でも、IRBBB+心雑音等で、心エコーまで考慮する方が多いんです。
今回の教訓は、以下のようにしました。
【 IRBBBを見たら、胸部レントゲン見直しと、丁寧な聴診をもう一回行う。心配なら、心エコーで確かめる。 】
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