heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-268:answer

 先天性心疾患:ASD (Atrial septum Defect)ですね。

 

 心エコーで、

 右心系が拡大している。

 カラードプラで、左房→右房への短絡血流が、きれいに描出されている。

 これだけで、診断は、確定的です。

 胸部レントゲンは、正面像しかないので、言い切りは難しいのですが、肺動脈が全体的に、拡張しているようです。本当は、CT断層画像が欲しい。

 

 収縮期雑音(ralative PS)と、II音の分裂があります(wide-QRSなので、当然かもしれません)。固定性分裂かどうかは、よく分かりません。

 上記を知った上で、もう一度12誘導心電図を、見てみましょう。


Ecg2684web

クリックすると、ECGが拡大します。

 う~ん。IRBBBのみですね。

 ASDならば、右心負担像があると、話が早いのですが。。

 右軸偏位がない。

Pulmonary-Pがない。

 胸部誘導のCWR(=右心系拡大)がない。

Crochetage pattern は、あるような、ないような。

Crochetage patternて、何なのよ?→次回コラムへ。)

 心電図のみから、積極的にASDを疑うのは、困難だと思いました。

 この患者さんは、心不全不整脈等の循環器的問題を抱えていませんでした。今後の事を考えて、心臓外科 or/and カテーテル治療の出来る施設への紹介としております。TEE等は、当院で行っておりません。

 さて、ここで一旦お話しは終了ですが、そもそもIRBBBって、何なのよ?と云う内容に移ります。

 不完全右脚ブロック(IRBBB)は、完全右脚ブロック(CRBBB)になる途中経過なのか?

 

 必ずしも、そうではないと思われています。(ココは、エキスパート・オピニオン的ですが)

 特にASDのように、明らかな右心への容量負担がかかる場合には、右心系への負荷が、右室の収縮時間を延ばして、V1rSR`パターンや幅の狭いV6 S波が出現するとも、考察できます。

 

 

 だからと云って、IRBBBASD除外→心エコー(TTE/TEE)の施行は、あまりにcost-performanceが悪すぎます。普通は、IRBBBは意義の少ない所見として、スルーするのがお約束です。

 小児科の領域でも、IRBBB+心雑音等で、心エコーまで考慮する方が多いんです。

 今回の教訓は、以下のようにしました。

 IRBBBを見たら、胸部レントゲン見直しと、丁寧な聴診をもう一回行う。心配なら、心エコーで確かめる。 

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