コラム-089 :Crochetage patternって、何ですか?
【 コラム-089:Crochetage patternって、何ですか? 】
Crochetage:フランス語です。
〔編み物用の〕かぎ針。
無理矢理カタカナ表記すると、(コシュタージ)
→あんまり、自信のない発音です(-_-)。
Crochetage pattern
【定義】A notch near the apex of the R wave in inferior limb leads.
下壁誘導( = II, III, aVF )に認めるnotchです。
A.) IRBBBと crochetage pattern の両方があると、右心負担のあるASDを想起する。
B.) 下壁誘導( = II, III, aVF )の全てに、 crochetage pattern を認めると、ASDの可能性は、とても高くなる。(VSDでも出現あります)
C.) ASDの術後は、半分くらいこの所見は、消失します。
D.) 但し、この所見の有無と、ASDの重症度(肺高血圧・シャント率)が、相関する訳ではない。
E.) 先天性心疾患が無くても、認めることはあります。明らかな心疾患が無くても認めることあります。
このブログのECG-120で、実は経験しております。
.
.
.
.
.
.
.
手術により、
心不全の状態が改善しました。(胸部レントゲンの改善)
.
心電図では、
*心房細動の洞調律化。
*右軸偏位の改善。(CRBBB→IRBBBとなった事を踏まえても)
*crochetage patternの消失。
.
を、呈しています。
.
教科書に、打って付けの症例ですね。
.
.
さて、crochetage patternは、ASDに特異的でしょうか?
.
そうでは、ありません。
QRSにnotchがあるのは、心室内の小さな変行伝導=心筋障害を意味します。心筋虚血でも、心肥大でも、心筋症でも発生します。
ASDにおけるnotch(=crochetage pattern)は、右室の容量負荷による心筋障害の反映のはずです。特徴は、その局在性ですね。II, III, aVF と云う。
.
【 crochetage patternでは、ASDを鑑別に思い浮かべる 】
.
【 多発するnotchでは、心筋障害を想起しましょう 】
.
.
.
.