【コラム-098】CRBBBについて あなたに知って欲しいこと
【ECG-316】以後は、こちらのはてな(Cardio2012のECGブログ 2019改)にあります。どうぞ、こちらへお願いします。
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ECG-001〜ECG-317までUpしております。
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twitterで、CRBBBについて連投しました。
それを、together風にまとめました。
クリックすると、ECGが拡大します。
【 その1 】
CRBBB=Complete Right Bundle Branch Block、完全右脚ブロックのことです。但し、この(完全)は、解剖学的右脚が完全に切断されていることの証明ではなく、QRS幅が、0.12sec.以上あると云う意味です。
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【 その2 】
CRBBBは12誘導全てにド派手な変化をもたらすために、判断に迷いが生じやすいんです。まず、CRBBBの波形に慣れること、その成り立ちを知ることが大切なんですね。
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【 その3 】
パターン認識としては、V1でM型 or rSR`型・V6で幅広いS波が出現する。QRS幅は、0.12sec.以上。基本的には、これだけ。付帯する事項は、成書で学んでね。
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【 その4 】
なおCRBBBでは、+90°までの軸偏位はCRBBBであることで説明出来ます。
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【 その5 】
正常伝導では、心内膜→心外膜と、高速で電気的興奮が流れます。シュワッチ・・・と。それで、QRS<0.12sec.なんです。図解付き。
(シュワッチとは、ウルトラマン用語で、素早く動く様です。異論は、色々あるようです。)
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【 その6 】
器質的心疾患のないCRBBBでは、左室(=左脚)は正常に興奮します。心電図上も左室を評価できます。その上に、右脚が切断された右室のゆっくりとした興奮が乗っかっているんです。波紋が静かに拡がるように。
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【 その6 】
器質的心疾患のないCRBBBでは、左室(=左脚)は正常に興奮します。心電図上も左室を評価できます。その上に、右脚が切断された右室のゆっくりとした興奮が乗っかっているんです。波紋が静かに拡がるように。
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【 その9 】
一過性のCRBBBの12誘導心電図です。CRBBB→narrow QRSとなっています。これだけ、波形が変化するんですね。
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【 その10 】
CRBBBの患者さんで、左室に問題があったらどうするのか?左室の異常は素直に読み取ればいいんです、CRBBBに惑わされずに。
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【 その11 】
CRBBBを持つ患者さんが、無症候性の前壁中隔梗塞になってしまった前後の12誘導心電図です。
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【 その12 】
V1,2において、中隔の興奮を意味するR波が無くなり、rsR`→QR`となっています。(初めてこの心電図を見ると、解釈が出来ず困る研修医多いようです。)
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【 その13 】
ACS(LAD)を起こしたCRBBBの患者さんの急性期(at ER)の心電図です。どこがおかしいか、お分かりになりますか?
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【 その14 】CRBBBのV6は、S波が幅広くなります。肺高血圧症では、RVHのミラーイメージで、深く狭いS波となります。
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【 その15 】CRBBBの胸部誘導でのvariationを、お示しします。ぜ~んぶCRBBBです。
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ECG-306:answer
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心電図を学ぶとき、パターン認識は大切です。瞬間的に判断できることは、大きな医療上のパワーです。
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脚ブロックの成り立ちを、まず理解しましょう。
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CRBBB=Complete Right Bundle Branch Block
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この complete とは、QRS幅が 0.12秒以上と定義されています。なんで0.12秒かと云うと、そう決めたからです、医学として。これだけQRS幅が拡がっていれば、右脚(または左脚)は完全に電気的切断がされてるはずだ、と云うことです。これをベースに、
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(パターン認識で、CRBBBを認知する)
- ◎ QRS幅が、0.12秒以上(3.0mm幅以上 - 25mm/sec.にて)
- ◎ V1で、QRSがrSR’型か、M型を示す。
- ◎ V6で、幅広いS波を示す。
QRS幅は、いちばん幅広くみえる誘導で測定します。(narrow QRSにしか見えない誘導も、ひとつくらいあるものです)
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次を、見て下さい。
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CRBBBとCLBBBです。典型例の比較です。
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あなた 「どう? 区別できるようになった?」
後輩の医学生-A 「はあ・・なんとなく。でも、心配です」
あなた 「どの部分の説明が、わからないの?」
後輩の医学生-A 「なんか、途中で取り違えそうで、、、」
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私は、小学校低学年まで、右と左を、すぐ間違えました。自転車をこいでいて、右に行くぞ!と云われて左にハンドル切るのが何回あったことか。(お箸を持つ方が、右手!)と、今風の politically correct に反するような覚え方してました。
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パターン認識だけだと、どっちがCRBBBかCLBBBか、分からなくなります。50:50の選択になってしまいます。
と云う事は、50%の頻度で、CRBBBとCLBBBを、取り違えると云う事です。心電図波形は、たとえ(屁理屈)でもいいので、分かった気になるロジックで理解しましょう。間違えていたら、訂正できます。パターン認識だけでは、何を間違えたかすら、わかりません(・_・?)。
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では、次回のコラムで、CRBBBの成り立ちを、電気生理学(風に)ご説明致します。
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【ECG-306】70才代男性。CRBBB なんです。
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今度、国家試験を受けるあなたの後輩が、浮かない顔でやって来ました。
後輩の医学生-A 「せんぱい、ご相談があります。」
あなた 「どうしたんだい。」
後輩の医学生-A 「脚ブロックが、わからないんです。」
あなた 「どんな風にわからないの。」
後輩の医学生-A 「CRBBBとCLBBBが、区別が出来ないんです。」
あなた 「だって、全然別じゃん。」
後輩の医学生-A 「頭の中で、ごっちゃになるんです。」
優しいあなたは、医学生-AにCRBBBを、説明します。
Question:CRBBBの心電図です。この心電図がCRBBBであることを、わかりやすく説明してください。
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ECG-305:answer
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70才女性で、突然の喉の痛みと呂律不良です。
この心電図からはACSを考えるしか、ありませんね。他には、考えられない。
問題は、どういう状況でACSが発生したのか? です。病歴を検討します。
◎ 突然の発症。
◎ ショック状態。
◎ 血圧の左右差。
まず大動脈解離を、考えますね。
◎ ろれつが回らない。片麻痺の出現。
脳血管を噛んでしまった解離のようです。
心電図無しで、原因疾患(大動脈解離)は想定されます。
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今度は、心電図解析をしてみましょう。(臨床情報なしで、、)
クリックすると、ECGが拡大します。
☆ II, III, aVF 誘導でのST上昇を示す。
- ☆ I, aVL 誘導でのST低下を示す。(ミラーイメージ)
- ☆ P 波がない。Junctional rhythm と考えます。徐脈だし。
当然、下壁の梗塞です。側壁への影響が弱く、リズム失調があり、右冠動脈が責任病変と考えます。
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この心電図の情報だけで=臨床情報なしで=議論すると、ちょっと大変です。
研修医「先生!この心電図を見て下さい。急変で来院したんです。」
循環器医「おっ、ACS-RCAだ。すぐに緊急カテの手配だよ。」
研修医「すでに、放射線科・カテ室看護師に連絡済みです。」
循環器医「反応が素早いね。Door to Balloon timeを縮めたね!」
上記のような、おめでたい結論に飛びつきそうです。
循環器医「ところで、病歴と理学的所見等は、どうなってるの?」
手練れの指導医ならば、ちゃんとここまでチェックするはずです。
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すぐに、造影胸腹部CTが撮影されました。
クリックすると、拡大します。
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胸腹部の造影CTでは、くるくるとカールされた intimal flap が描出されています。上行大動脈に留まり、Stanford-A型です。
転院後、緊急の心臓外科手術が施行されました。右冠動脈入口部は解離しており、パッチ閉鎖と新規バイパスが施行されました。上行大動脈置換術・脳血管再建も行われており、回復は順調でした。
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大動脈解離による心電図変化は、心合併症を示唆します。
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→解離が発生するときは、RCA 入口部を噛み込みやすい
→LMTを閉塞したら、おそらくsudden deathです。
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◎ 解離による心タンポナーデ等で、ST低下生じ得る。
→但し、機序は明快でない。
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◎ 高血圧症の合併も多く、元々ST低下している可能性あり。
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まとめです。
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大動脈解離(Stanford-A型)で、緊急手術となりました。
合併症として、ACS(RCA)と、大動脈解離による脳梗塞があるも、後遺症は最低限で治まりました。
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【 ACS と思ったら、大動脈解離を除外する習慣をつけましょう! 】
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今回は、小菅雅美先生の
https://www.amazon.co.jp/心電図で見方が変わる急性冠症候群-木村一雄/dp/4830619252/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1541671324&sr=8-1&keywords=心電図で見方が変わる急性冠症候群
を、参考させて頂きました。名著です。must-buy! です。
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ECG-305:70才代女性。突然の喉の痛みと呂律不良です。
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早朝に自宅で食器を洗っていて、急に喉が痛くなりました。家族がお茶を飲ませようとした時に、そのまま後ろ向きに倒れそうになりました。
とっさに家族が支えて、頭部打撲はありません。声かけするも、1分間ほど呂律が回らず、いわゆる(白目をむいた)状態となりました。すぐに、救急要請となりました。
搬入時は、GCS:3-4-6、BT=34.4℃、RR=36bpm、SpO2=100%(リザーバー12L/min.)、sBP=60mmHg(左)・(右は触知できず)
左上下肢の不全麻痺を認めます。
Question:上記を踏まえて、心電図診断を、お願いします。
(及び、その原因疾患の想定です。)
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ECG-304:answer
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ACSを考えるしか、ありませんね。他は、考えられない。
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ACS診断における心電図の役割は、(これはACSだ!)と警告する事で病変の局在診断はあまり意味を持たない、なのですが、これはちょっと例外でした。
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心電図解析をする前に、直後に施行されたCAG/PCIを、提示します。
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困りました。RCA(#2)が完全閉塞です。LCX(#12)も、完全閉塞です。どっちが、今回の責任病変なんでしょうか?
さらに、LAD(#6)にも高度有意狭窄を認める三枝病変でした。
なお、左冠動脈より右冠動脈へ、しっかりとした側副血行路を認めています。
心カテの動画を提示します。
(prePCI-LCA-#12 obstruction)
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(prePCI-LCA-collateral to RCA)
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(prePCI-RCA-total obstruction)
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さらに、LAD(#6)にも高度有意狭窄を認める三枝病変でした。
挿管されて、IABP補助下でのPCIです。
結果、LCX(#12)→LAD(#8)→(#6)と、PCI/stent留置を施行しております。
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クリックすると、拡大します。
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さて、救急での発症時の心電図を解析しましょう。
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これは、STEMIなんです。ST低下主体なんですけど、よく見るとST上昇が V6,aVL, I 誘導で、認められます。
少し悩みます。側壁・高位側壁のACSのはずです。しかし、ST低下がそのミラーイメージと納得するには、広範囲すぎます。回旋枝一枝病変と理解するには、心電図変化が複雑すぎます。
RCAの病変が主因だと、 II, III, aVF 誘導でのST低下が説明困難です。
回旋枝の閉塞が、今回のACSの主因と判定しております。
(LADより、RCAへ側副血行路が流れているのも、時間の経過したRCAの閉塞病変であることを、示唆します。)
PCI後の心電図です。
今回ばかりは、責任冠動脈を判定するのに、12誘導心電図が活躍してくれました。
【 ER心電図の役目は、ACSだと警鐘を鳴らすこと 】
【 RCA/LCXの二枝病変では、責任冠動脈推定に役立つ、カモ! 】
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ECG-304:80才代女性。三日前からの胸痛発作と倦怠感です。
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80才代女性。三日前からの胸痛発作と倦怠感です。
高血圧・高コレステロール血症にて、外来管理されていた独居の女性です。一人で通院できる元気な方です。
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三日前より、胸部不快感が出現するようになりました。どうしようもない倦怠感で、本日昼にER受診です。
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Question:心電図診断を、お願いします。
責任病変と、冠動脈の状態を、推定して下さい。
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