ECG-305:answer
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70才女性で、突然の喉の痛みと呂律不良です。
この心電図からはACSを考えるしか、ありませんね。他には、考えられない。
問題は、どういう状況でACSが発生したのか? です。病歴を検討します。
◎ 突然の発症。
◎ ショック状態。
◎ 血圧の左右差。
まず大動脈解離を、考えますね。
◎ ろれつが回らない。片麻痺の出現。
脳血管を噛んでしまった解離のようです。
心電図無しで、原因疾患(大動脈解離)は想定されます。
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今度は、心電図解析をしてみましょう。(臨床情報なしで、、)
クリックすると、ECGが拡大します。
☆ II, III, aVF 誘導でのST上昇を示す。
- ☆ I, aVL 誘導でのST低下を示す。(ミラーイメージ)
- ☆ P 波がない。Junctional rhythm と考えます。徐脈だし。
当然、下壁の梗塞です。側壁への影響が弱く、リズム失調があり、右冠動脈が責任病変と考えます。
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この心電図の情報だけで=臨床情報なしで=議論すると、ちょっと大変です。
研修医「先生!この心電図を見て下さい。急変で来院したんです。」
循環器医「おっ、ACS-RCAだ。すぐに緊急カテの手配だよ。」
研修医「すでに、放射線科・カテ室看護師に連絡済みです。」
循環器医「反応が素早いね。Door to Balloon timeを縮めたね!」
上記のような、おめでたい結論に飛びつきそうです。
循環器医「ところで、病歴と理学的所見等は、どうなってるの?」
手練れの指導医ならば、ちゃんとここまでチェックするはずです。
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すぐに、造影胸腹部CTが撮影されました。
クリックすると、拡大します。
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胸腹部の造影CTでは、くるくるとカールされた intimal flap が描出されています。上行大動脈に留まり、Stanford-A型です。
転院後、緊急の心臓外科手術が施行されました。右冠動脈入口部は解離しており、パッチ閉鎖と新規バイパスが施行されました。上行大動脈置換術・脳血管再建も行われており、回復は順調でした。
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大動脈解離による心電図変化は、心合併症を示唆します。
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→解離が発生するときは、RCA 入口部を噛み込みやすい
→LMTを閉塞したら、おそらくsudden deathです。
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◎ 解離による心タンポナーデ等で、ST低下生じ得る。
→但し、機序は明快でない。
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◎ 高血圧症の合併も多く、元々ST低下している可能性あり。
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まとめです。
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大動脈解離(Stanford-A型)で、緊急手術となりました。
合併症として、ACS(RCA)と、大動脈解離による脳梗塞があるも、後遺症は最低限で治まりました。
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【 ACS と思ったら、大動脈解離を除外する習慣をつけましょう! 】
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今回は、小菅雅美先生の
https://www.amazon.co.jp/心電図で見方が変わる急性冠症候群-木村一雄/dp/4830619252/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1541671324&sr=8-1&keywords=心電図で見方が変わる急性冠症候群
を、参考させて頂きました。名著です。must-buy! です。
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