heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-033:Answer

 ECG-033:44才男性。Multiple Riskあり。いろいろあって現在の心電図

 以前、国内留学中に、健診センターの心電図読みをしていました。バイト代も出ませんでしたが、お礼奉公として、せっせと読んでました。週三回くらい厚さ数十センチの心電図を、他の情報なしに、読みまくりました。これ、けっこう、役に立ちました。正常心電図を、イヤになるくらい見て、正常のレンジを体感しました。診療所では、お仕事として、やはり読みまくりました。数を見るのは、力でした。

 この心電図では、

*洞調律、電気軸も正常、リズムも問題なし。

*でも、元気がない心電図。(T波に力がないため、そう感じる)

*やらた、notchが多い。(絶対、心筋障害がある! と思う)

*Voltageが全体的に低いことの説明を探したい。(体型?肺気腫?三枝病変?甲状腺機能は?)

*これは、none-Q waveですよね。これで、虚血が隠れてるとすると、けっこうきついかも。

*今の時代ならば、電子的に背景情報を、収拾ですね。バイトでてきないこともありますが。

 心筋梗塞を2回されています。

 2型糖尿病でSmokerです。サッカーの松田選手が象徴するように、喫煙は強力な虚血発作のトリッガーです。

 一回目は、回旋枝病変でした。2005年。

 I, II, III, aVF, V5,6で、ST上昇あり、V1,2,3 でミラーイメージとしてのST低下あります。

 もちろん、すぐにPCIでした。その後しばらくして、医療から脱落していました。

E033062404321stacs20051002

クリックすると、ECGが拡大します。

 2009年に、再度の胸痛でERを受診しました。そのERでの心電図。

 V1,2,3のbox状のST上昇とQS pattern。V4,5のST上昇。すでにT陰転がV3,4,5。

 間違いなく、LADのACSです。すぐに、PCIとなりました。

 ふつう、これで Ischemic-DCM へのRemodeling が完成してしまうと、思ってしまいます。

 PCIの虚血進行阻止が、有用であった一例でした。

E033062404322ndacs20090901

クリックすると、ECGが拡大します。

 で、2011年の現在の心電図に、戻る訳です。

 R波を復活し、何事もなかったように、ST-Tも穏やかになりました。

 でも、何となく傷だらけの心電図です、40才代としては。

 普通は、病歴なしはないので、この既往歴をきけば、『然もありなん!』ポンと膝を打つでしょう。

 しかし、意識障害・認知問題・病歴を隠したがる、などいろんな実臨床もありです。

【傷だらけの心電図から、往事をしのんであげる】 のも、大切かも。但し、読み過ぎ注意!!

 今は、私の外来に通っています。HbA1c>8.0以上。Smoking続いています。藪医者と怒らないで下さい。心不全・狭心痛は、今のところありません。いくら説教しても、苦笑いしても、リスクの説明(大変さ)しても、聞き入れてはくれませんが、何故だか、外来にはきちんと通院されています。

 現在の心機能です。心エコー四腔像

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