ECG-052:answer
回旋枝 Seg-13の完全閉塞の症例でした。ACSです。PCIにて、すぐに血行再建に、成功しています。
回旋枝のACSは、ECGでちょっとわかりにくいことが多いんです。この症例でも、
○ ST低下が、V1-2にある。(後壁梗塞の所見:fresh)
○ ST上昇は、V5-6, I 誘導にある。(側壁梗塞の所見:fresh)
○ AVブロックがなく、また徐脈もない。(刺激伝導系の障害なし。RCAらしくない)
が、主たる変化です。V1,2とV5,6がミラーのような関係です。
回旋枝(側壁の下側を支配)の障害と考えると、ST-Tが変化する場所の分布が、理解できます。
慣れると、むつかしくはないが、LcxのACSは、数は多くないので(数割以下)、初見だと、戸惑うかもしれない。
また、壁運動障害の部分が少なくて、心エコーも見慣れないと、狭い壁運動障害を、自信を持って指摘しきれない、(かも)。
こう云う時には、経時変化を1時間毎に、心電図で追うのも一手です。
でも、ACS-PCIを考えると、すぐに決断です。
この症例では、胸痛とこの心電図で、緊急のPCI突入は、ありですね。
次は、約2週間後の心電図です。
ST-T変化は治まりました。明らかなQ波の出現はありません。V5,6、I 誘導のR波高が低くなったのが、心筋damageの名残でしょうか。
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