heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

【コラム】:ACS RCAとLCXの違いを見分けられるか?

右冠動脈と回旋枝。

   冠動脈のポンプ機能における力関係は、

   LAD>>RCA>LCX で、大体間違い有りません。

   RCAは、下後壁を支配(栄養)します。
   LCXは、側壁を支配します。

 LADが関与しない初回梗塞では、肺水腫の出現は少ないです。けれど、その患者の基礎状態(multiple-risk)や、冠動脈の支配領域の大きい場合には、状況は違ってきます。心エコーで、ポンプ残存機能を、評価しましょう。

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   解剖学的差異により、以下の様に心電図変化は、出やすいはずです。

RCAでは、
● II,III,aVFで、ST上昇しやすい。
● さらに、後壁の変化が、V1-3で、ミラーイメージに生じる。
● 洞結節動脈や房室結節動脈を支配して、徐脈・AV-blockを生じやすい。
● 右室梗塞を合併することあり!(右側胸部誘導での確認:意味があるかも)
● さらに、側壁まで虚血が及び得る。

LCXでは、
○ V5-6で、側壁の虚血パターンが出現しやすい。
○ I,aVLで、側壁・高位側壁梗塞パターンが出現する可能性あり。
○ 伝導系の支配は、あまりしないので、リズム問題は生じにくい。
○ 右室梗塞は、合併しない。(支配血管がない)

 このように、特徴を述べることはできますが、決定的差異は、
◎  RCA-ACSでは、リズム異常・右室梗塞を呈することがある。
◎  Lcx-ACSで、右室梗塞は発生しない。
 のみとなる。

 つまり、上記がない状況では、どちらが責任冠動脈かは、その場の医師の、直感にまかされる。
 3例、下後壁のACSの症例を続けて提示しました。
 ECG-062では、V5-6の変化も強く、Lcxの病変を示唆しています。(リズム異常ないし)
 しかし、何度も云いますように、ACSであると即座に理解できることが、ポイントなのであって、緊急冠動脈造影と決まれば、後は結果しだいでの対応でよい。
 もし、造影検査ができず、conservative therapyになっても、出てくる現象(AV-block,右室梗塞,徐脈,自由壁破裂,etc)への、個別対応で結果は変わりません、どちらの冠動脈による梗塞であったにしても。

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