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Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-081:answer

ECG-081:89才女性。一過性の意識障害を、複数回示していました。

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 ECG-081:89才女性の一過性意識障害です。
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 胸部レントゲンでは、かなりの横位心ですね。
 肢誘導では、電気軸が寝てしまったために、低電位化しています。
 NSRです。
 胸部誘導で、目に付くのは、V1-3でR波が高いことですね。
 これだけで、決めつけはできませんが、肥大型心筋症も鑑別になります。
 この症例は、HOCM:Maron(type-III)でした。
 左室短軸をエコーで観ると、心室中隔付近(10〜14時方向)の肥大が著明で、後壁は普通の壁厚でした。
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 不整脈を除くと、何が考えられるでしょうか?
 Erbの領域の収縮期雑音(ESM)があれば、
◎ 大動脈弁狭窄症(AS)による失神。
◎ HOCMによる左室流出路(LVOT)の圧格差増大⇒ショック。
 が、まず考えられますね。
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 ASの有無は、心エコーで除外できます。
 HOCMは、注意が必要です。
 その血行動態により、LVOTの圧格差は、大きく変動するからです。
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 今回は、ニトロール3.0mg静注負荷を行いました。
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 圧格差は、10mmHg⇒100mmHgへ拡大しました!!
 上腕の血圧は、160⇒130mmHgへ低下しています。
 ニトロール負荷時には、失神はありませんでした。
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 ちょっとした脱水が、突然著名なLVOTの圧格差を生むことがあるんですね。
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【失神は、循環器的には、不整脈や迷走神経過緊張とは、限らない。】
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 CWによる、圧格差測定のエコー図です。
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Hocm

クリックすると、拡大します。

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 ニトロール負荷前の左室収縮の動画です。

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 ニトロール投与後です。

 SAMが出現し、心室中隔上部の可動性も増加し、LVOTの狭窄を示唆します。

(実際には、PW,CWでの圧格差測定が必要です。なお、圧格差測定の存在は、カラードプラで確認できます。)

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