ECG-126:answer
ECG-126:86才女性。脳梗塞後に、徐脈になった症例です。
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慢性心房細動の患者で、リズムが整になった時は、すぐに12誘導心電図記録です。
特に、徐脈の際は、気をつけてね。
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P波がある時。単に洞調律に戻っただけですね。でも、慢性化している心房細動が一時 sinus rhythm に戻っても、安心はできません。すぐに、ほぼ間違いなく、心房細動に戻るからです。
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RR間隔が整なのに、P波が無い。
完全房室ブロック + 異所性ペースメーカーの作動です。
おそらく、徐脈のはずです。
もし、100bpm以上だったら、VTも視野に入れます。
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この再入院後の徐脈の心電図を見ると、一つだけCRBBBパターン(脳梗塞発症時の同じ)があります。ここだけ(青矢印)、たぶんAV伝導は繋がっています。
完全房室ブロックも、Holter-ECGなので見ると、時々AV伝導が繋がっている部分を認めることが、あるんですね。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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この症例では、治療薬に入っていたβ-blocker(アーチスト)と認知症治療薬(アリセプト)を、中止しました。それにより、伝導回復を図りました。しかし、完全房室ブロックは、ますます強固となり、改善を得ませんでした。
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遠方に居る娘さんに、来て頂き、永久ペースメーカーの適応を、社会的に相談しました。この方の場合、今度の脳梗塞で、認知症が進行しており、PMIしても、今後重度認知症にすぐ移行する可能性がありました。また、本人の判断能力は、当てにできない状況でした。でも、娘さんはわかるようです。難しい状況です。何もしなくても=PMIしなくても=本人も今は困っていません。でも、夜間は30/min.近くにHRが低下します。
医療面接を繰り返し、最終的に、永久ペースメーカー植え込みとなりました。
このまま安定状況で経過し、VVI-PMIとなるはずでしたが。。。。
ECG-127に、続く。
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