ECG-173:answer(3/3)
高カリウム血症の心電図:棚卸しシリーズです。
治療前後の胸部誘導心電図を、提示します。
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=A=
*リスクが多重する70代男性でした。DCM-likeの病態です。
⭕️ P波がない。
⭕️ もともとST低下があるためか、高カリウム血症時のT波の尖りが、いまいちでした。もっとカリウム値が上昇すると、はっきりするのか?
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*70代女性です。意識障害で来ました。
⭕️ P波がなく、T波の尖りは著名。高カリウム血症しか、考えられない!
⭕️ 徐脈でQRS幅も広い。緊急治療の対象ですね。
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*60代男性です。生活習慣野放図な透析患者さんでした。
⭕️ 頻脈発作自体の合併は、高カリウム血症とは別問題かもしれません。
⭕️ 尖ったT波は、カリウム値が高いことを予測させます。
⭕️ DC掛けて、挿管して、緊急透析でした。これで、心電図回復しています。
⭕️ でも、家族が止めるのも聞かずに、本人怒って、自己退院でした。。
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*80代女性。(結果として)カリウムの過剰補正でした。本人の症状ありませんでした。
⭕️ これだけの高カリウム値ながら、P波きちんとあります。
⭕️ T波は、その気になって見ると、尖ってるように思えます。
⭕️ ボーッと見ていたら、心電図変化に気付かないかも、しれません。
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=E=
*80代女性。気分不良・食思低下があって、ある朝嘔吐しました。近医でK=9.0mEqで、慌ててER搬入です。心エコーでも左室壁運動は、良好です。
ARBとaldsterone-blocker投与されていました。
⭕️ P波ありません。頻脈です。
⭕️ T波尖ってます。
⭕️ V1,2のST上昇しています。ACSも考慮ですが、左室壁運動正常です。
⭕️ 直後のカルシウム製剤の緩徐静注ですぐ治ったので、やはり高カリウムの
影響とすべきなのでしょう。
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=F=
*50代男性。脱力・全身倦怠感でした。CABG後で、透析患者さんです。
⭕️ P波は、残っています。
⭕️ T波の尖りは、左右対称性で、高カリウムを想起させます。
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=G=
*50代男性。HCC終末期。この患者さんのみ、看取りで亡くなる前の高カリウム血症の心電図となっています。
⭕️ VT様の波形です。かなりのwide-WRSです。
⭕️ T波は、尖っています。
⭕️ やっぱり、P波ありません。
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このように高カリウム血症は、たいてい胸部誘導で判定しています。
そして、高カリウム値なのに、あんまりパッとしない心電図波形も多いのです。今回は、高カリウム血症の心電図:棚卸しでした。これだけバリエーションがあることを知れば、もう迷いません。
【 今回の教訓:おかしいな?と思ったら血清カリウム値測定を! 】
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