heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-195:answer(2/2)

 100才代の女性です。嘔吐後の誤嚥性肺炎でした。

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心筋虚血の診断としては、まず血液酵素学的判定があります。

各々の異常値と、経時的変化を見てみましょう。

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 ERでは、ACS様変化に気を止めていないので、CPK,トロポニン等が、記録されていません。

 入院二日目(X+1 day)では、GOTがGPTと解離して上昇し、CPK値が高値です。心電図異常と併せて、心筋虚血を疑いトロポニン-IとBNPを追加しました。

 トロポニン-IとBNP値は、著明高値です。

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 心筋トロポニン-I値も、著明上昇だけでも、ACSを強く示唆しますが、タコツボ心筋症でも、トロポニン値は上昇します。BNPは、心不全を合併すれば、どちらでも上昇します。

 

 広範囲前壁心筋梗塞にしては、CPK値の上昇が不十分な気もします。悩みました。

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 タリウム心筋シンチ(TL)とピロリン酸心筋シンチ(Tc)による、同時ダブルシンチの画像です。

*心筋タリウムシンチでは、心尖部が欠損像として提示されます。心筋血流が無くなってしまったことを、意味します。

ピロリン酸心筋シンチは、心筋壊死が完成していく過程で集積します。心尖部に陽性像が認められます。

 よって、心尖部障害のACSと判断しました。#7くらの病変でしょう。

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 経時的心電図変化を、お示しします。

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クリックすると、ECGが拡大します。

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 PCIを施行しておらず=100才代です=Q波は、経時的にV1-5まで拡がっています。T波は陰転化し、また戻っています。このように、ジワジワと虚血部位が拡がるのは、PCI時代では、あまり見ませんね。残存したR波も力なく=低電気化=なっています。

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 よくある高齢者の誤嚥性肺炎ですが、このように虚血発作が隠れていることも、ままあるんです。

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