heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-210:answer(その1)

80才代の女性で、心電図が異様に変化した症例です。

この患者さんの X-dayの半年前の心電図を示します。

 特に大きな問題は、ないようです。


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X-1 dayの心電図の特徴を解説します。

  • V1のST上昇がない。
  • aVRのST低下を認める。

 V1のST上昇がないのは、心基部付近の心筋障害がない!ことを意味します。

 aVRのST上昇は、心尖部の心筋障害によるST上昇のミラーイメージです。

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   この所見は、心尖部のバルーニングを起こした(たこつぼ心筋症)の病態にマッチしているんですね。

   V1誘導は、心基部でタコツボ化した障害心筋上にはありません。ST変化が起きにくい訳です。

   aVRは、-aVR(心尖部)でのST上昇のミラーイメージとして、ST低下します。

 LADのACS症例と比べると、V1のST-T変化の違いがわかります。


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  ここで、もしLADの真ん中(#7)あたりの閉塞を示すACSならば、タコツボ心筋症様に、V1のSTが上昇せずに、aVRのSTが低下する心電図を示さないの?との疑問も生じます。

  そうです、あり得るんですね。完全な鑑別には、なり難い。

 でも、この考え方のユニークなのは、

【 aVRでST低下せず、かつV1でST上昇するならば、それはタコツボ心筋症ではありません! 】

  と、rule out に使える点なんです。

 以上は、小菅雅美先生の著書に、詳しく述べられています。必読です。





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