ECG-228:answer(2/2)
80才代女性が、急に倒れて、徐脈と低血圧・片麻痺の出現・足部の冷
感・チアノ-ゼ出現でした。Answer(2/2)です。
まず、大動脈解離の除外、ついでに肺塞栓も除外するために、造影CTを撮影しております。
ここには、提示しておりませんが、肺塞栓像はありませんでした。
右心系の著明な拡大有ります。
大動脈解離も、ありません。(大動脈解離⇒バルサルバ洞解離⇒右冠動脈閉塞 & 脳動脈解離による脳梗塞 の合併も考慮しました)
冠動脈造影で、RCA #2の完全閉塞と、側副血行路の欠落を確認後、PCIを施行・完全血行再建を行っています。
一時ペーシングのスタンバイを、行いました。
a ) カニの爪様の閉塞像は、血栓性閉塞をイメージさせます。
b ) RCAにガイドワイヤーを入れました。Pacingリードも見えます。
c ) 左冠動脈造影では、問題を認めません。側副血行路もない。
d ) ステント留置後です。ほぼ、完全血行再建できました。
この後、左片麻痺の検証のために、脳血管撮影を施行しています。
右前大脳動脈の閉塞を、確認しております。
なお、後でCT造影を、よくよく見直してみると、左腎での腎梗塞と考えられる造影欠損を、認めました。
なるほど、シャワーエンボリズムで、左房(左心耳)から、血栓が飛びまくり、今回の問題が生じたと考えると、一元的に説明出来ました。
そこで、搬入時心電図を、もう1回見てみましょう。
V1,2を観察します。
完全房室ブロックにより、RR間隔は一定です。異所性ペースメーカーリズムですね。
基線の揺れは、揃っているような・揃っていないような、不思議な形です。心房粗細動と呼ぶべきでしょうか。
緊急状態ですので、経食道心エコーをする余裕はありませんでした。造影CTでは、左心耳血栓は確認されていません。全て飛んだ後は、このような事が起きます。
さらに、両下肢の著明な冷感・チアノーゼを呈しました。
最終的に、循環不全で永眠されました。
臨床的診断ですが、心房粗細動による全身性塞栓症であったと 判断しました。