ECG-229 : answer
(臨床診断)心Sarcoidosis 〔 致死的不整脈(VT/Vf)救急車内 〕
但し、典型的心エコー図所見からです。
心Sarcoidosisは、section できない限りは、どうしても臨床推論的診断となります。
さらに、この症例では左室肥大もあり、単純に結論は出ません。(心Sarcoidosisは、心肥大を伴うことがあります)
幸いなことは、10 才代と若かったことでしょう。数十分以上にわたる心臓マッサージ(救命救急士が主導しました!)が効果したことです。
心エコーでは、心室中隔の基部(大動脈弁直下のあたり)が、非常にやせ細っています。この部分から、sarcoidosisの浸潤が拡がりやすいようです。
この心電図からは、心Sarcoidosisを推察することは、困難である・・と云うより、ムリです。
もう一回、心電図をよく見てみましょう。
CPA直後の心電図では、aVR,V1でST上昇し、他は全て低下しています。蘇生術後ですから、このような変化はあるでしょう。
5病日では、ST-T変化は、安定化しています。
CCWRがあり、V1でSTの上昇が残っています。でも、Brugada風ではありません。
Normal varientとするには、ちょっとヘンだな、若年だし体型の為かな?などど、いろいろ考えそうです。
事実、2年前に、健診での心電図異常のために、他院で冠動脈CT造影(intact study)と心エコー(著変なし)とトレッドミルが行われています。
胸部誘導のV1-4くらいで、ST低下が著明です。いくら若いからと云っても、解釈に困ります。
この時の心エコーでは著変を認めず(と情報提供あり)、冠動脈もCT上問題ないために、経過観察となっています。
当院での心エコーです。
心室中隔基部の菲薄化は、心Sarcoidosis以外の診断名が出てこないほど、典型的な所見です。また、中隔の拡張性が悪く、硬いイメージを示しています。
心Sarcoidosisは、しかし、確定診断が難しいのです。心筋生検の特異度は、20%前後です。当たり前ですが、Sarcoidosisによって変性した部分を採取しなけば、ならないからです。
状況証拠の積み重ねが、臨床診断となります。
VT/Vfのsuavivarとして、ICD植え込み目的で転院加療となりました。
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