ECG-238:answer
70才代女性の心電図で、悩みました。
*II, III, aVF で明らかなQ波があります。STも少し上昇してます。
* aVL でのST低下。ミラーイメージでしょうか。
* V5,6でのQ波あります。でも、異常Q波とまでは云えない。
* 左室肥大を思わせる高電位はありません。
冠動脈造影を行いました。狭窄性病変はありませんでした。
左室造影です。過収縮の状況です。
Q波の出現は、左心室の総合ベクトルが、その測定部位より離れていくのを記録しています。その成因としては、
* 測定部位が、なんらかの心筋虚血により起電力を失っている。
* 対側の心筋肥大が著明で、電位が引っ張られている。
のどちらかに、ほぼ収攣します。
心筋シンチは、相対的な心筋からの放射線量のカウントを表示します。
血流が減ると、perfusion defectとして表現されます。
* 心筋虚血があれば、放射線の集積が減ります。
* 局在性の肥大があれば、そこに放射線集積され、対側の正常部位がが相対的にカウントが減ります。
肥大部の集積亢進≠心筋灌流増加。非肥大部に比べ相対的に集積が高く見えるため。
もう一回、心電図に戻ります。
この幅広く、II 誘導まできっちりとあるQ波は、普通は陳旧性下壁梗塞をイメージさせます。他に、考えにくい。
でも今回の症例は、
* 明らかなACSとしてのエピソードがない。
* 冠動脈造影では、intact。
* 左室造影は、左室肥大による過収縮を示唆する。
* 心筋シンチでも、左室壁運動は良好。
* 下後壁の虚血か、非対称性肥大での下後壁Uptake減少。
など、HCMとしてのQ波ではないか!と 思わせる所見続出です。
【幅広いII,III,aVFのQ波でも、虚血性心疾患でないことがある・・・のでしょうか。。】
正直、確信が持てないんです(-_-;*)。
こんなこともある、と云う症例提示でした。
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