コラム-092:Type-II AV block Wenckebach型 II ブロック 2/2
典型例の Wenckebach AV block では、PR
間隔が次第に延長しながら、ついにQRSが脱落する、をくり返します。Wenckebach周期です。3~5心拍毎が多いですね。
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なお、Wenckebach周期が、ずっと続くことは少ないんです。ちょっとでも、交感神経が興奮すると、房室伝導はスムース(促進)になり、房室ブロックは消失します。
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あと、覚えてもよい Wenckebach AV block の Tipsは、
となります。
典型例を表示します。
PR時間が徐々に延びて、QRSが脱落し、再度PR時間が短縮(元に戻る)までを、一連の流れとして捉えます。
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今度は、非典型例です。
AV blockの出現が、その時々で変動します。
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交感神経 vs 副交感神経 のバランスで、AV block の出現ぐあいが変わります。局所だけ見ていると、Mobitz-2型のAV blockに見えるかも。
長めの記録で、判定して下さい。
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Wenckebach AV blockの教訓は、
【 Wenckbach AV blockは、長めの記録で、しっかりと判定する。 】
【 Wenckebach AV block と判定できれば、怖がらない。様子を見る。 】
30年間に、沢山の心電図本を、購入しました。
どの時代の心電図本を開いても、納得出来ることが記載されています。
完成された概念なんですね。
心電図の読み方パーフェクトマニュアル(p-273) 羊土社 2006年
QRSが脱落する前のRR間隔は、徐々に短縮することが多い。最初の短いPR時間からの伸びが急激で、その後の伸び方はだんだん鈍くなっていくことが多い。
メディカル・サイエンス・インターナショナル 2002年
Wenckebach型なら、房室伝導が再開した時のPQ時間は短縮している。Wenckebach型は、この短縮したPQ時間が徐々に延長していくので、最後のほうだけを見ているとわからなくなるのである。
心電図学(p-1027) 石川恭三編 1986(第1版) 南山堂
Wenckebach周期の古典的特徴は、常にみられるとはかぎらず、Wenckebach型房室ブロックはしばしば非典型的となる(atypical Wenckebach A-V bolock)
昭和の時代の本でも、最近の本でも、Wenckebach AV block
に関する記述は、安定して同じです。
石川先生の著書にも有りますように、Wenckebach AV blockに思えるけど、伝導の伸び方に規則性が欠けるHolter-ECG例は、沢山あります。無症候性のWenckebach AV block様の房室ブロックは、経過観察のみですので、悩んでも仕方ないです。
P.S. よく見たら、Wenckebachの綴りを、沢山間違えておりました。2018/6/26に、全て訂正しました(はずです)。。皆さんも、お気を付けあそばせ(-_-;*)。
と当時書いておりましたが、
*Wenckebach でも
*Wenchebach でも
どっちでも良いようです(2020/10/31)。