ECG-053:answer
57才男性。胸部不快発作にて、ERヘ来られました。
ADLは自立していますが、心血管病(脳卒中・心筋梗塞)をすでに発症していた方です。
今回の心電図所見を述べます。
◎ 明らかな II, III, aVF でのST上昇と異常Q波の発現あり。これが主体。
◎ V1,2,3と I 誘導で、ST低下あり。後壁新鮮梗塞のミラーイメージを含む。
◎ aVLでのSTの著明低下は、下壁のST低下のミラーイメージ。(下壁の新鮮梗塞では必発)
○ V1-3は、QS pattern。V4は異常Q波。陳旧性心筋梗塞と、考えたい。
○ T波にP波は、乗っているみたい。I-AV block。主要な所見ではない。
(でも、RCA病変の傍証かも)
さて、緊急の冠動脈造影をしたところ、
★ LAD Seg7=99% stenosis
★ RCA Seg2=total occlusion
でした。
活きの良いST-T変化の II, III, aVF を、今回の病変の首座と考え、RCAへの緊急PCIを行いました。
後日、LADへのPCIも、施行しています。
このように、二回目のACSの場合には、判断が慎重にならないといけない場合があります。
今回は、心電図のおかげで、責任病巣を、特定出来ました。
でも、病変が RCA & Lcx の場合には、トホホとなることも、あるんですよ。
翌日の心電図を示します。
下壁は急性期を過ぎた、梗塞の典型的所見となりました。
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