heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-059:answer

 ECG-059:41才女性。外来患者です。

 拡張期 rumbling と Opening snap で、もちろん僧帽弁狭窄症(MS)です。

 この聴診所見を得れば、他の所見なしで(心電図も!)、MSです。

 さて、心電図です。

 まだ、洞調律です。(MSは、Afib.化しやすい)

 

○ 左房負荷を示している。

   ⇒V1のP波後半の陰性部分が大きい。

   ⇒他の誘導では、P波後半が陽性として目立つ=左房成分。

○ Lead-I sign を呈している。

   ⇒MSによる右心負担=右室肥大により、電気軸が下向きに。

 ASDも、これに似た血行動態で(=左室に負担がない)、心電図も似てきます。軽症のMSとASDの心電図を間違えるのは、むしろ心電図がよく分かっている証左だと、云われていました。今は、心エコーで誰も間違えません。

 左房負荷の心電図所見は、このような症例(ex.MS)では、典型的であり、逆に決定的な症例以外では、いまいちな感度です。

 V1のP波後半が単に陰性なのは、健診心電図でもよく見ます。

 逆に、Morrisの基準を満たすような重症例では、特異度高いですが、偽陰性盛りだくさんとなります。(真の左房負荷+を陽性として)

 LA overloadingの心電図所見が、無意味と云っているのではないです。

 原理主義的になるな、と云うことです。

 健診系の心電図本では、厳密に書きすぎてることがあります。

 ほどほどに、考えてね。