ECG-059:answer
ECG-059:41才女性。外来患者です。
拡張期 rumbling と Opening snap で、もちろん僧帽弁狭窄症(MS)です。
この聴診所見を得れば、他の所見なしで(心電図も!)、MSです。
さて、心電図です。
まだ、洞調律です。(MSは、Afib.化しやすい)
○ 左房負荷を示している。
⇒V1のP波後半の陰性部分が大きい。
⇒他の誘導では、P波後半が陽性として目立つ=左房成分。
○ Lead-I sign を呈している。
⇒MSによる右心負担=右室肥大により、電気軸が下向きに。
ASDも、これに似た血行動態で(=左室に負担がない)、心電図も似てきます。軽症のMSとASDの心電図を間違えるのは、むしろ心電図がよく分かっている証左だと、云われていました。今は、心エコーで誰も間違えません。
左房負荷の心電図所見は、このような症例(ex.MS)では、典型的であり、逆に決定的な症例以外では、いまいちな感度です。
V1のP波後半が単に陰性なのは、健診心電図でもよく見ます。
逆に、Morrisの基準を満たすような重症例では、特異度高いですが、偽陰性盛りだくさんとなります。(真の左房負荷+を陽性として)
LA overloadingの心電図所見が、無意味と云っているのではないです。
原理主義的になるな、と云うことです。
健診系の心電図本では、厳密に書きすぎてることがあります。
ほどほどに、考えてね。