heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

コラム-075:Wellens syndromeの周辺

  Wellensさん達が、1988年に、以下のような提唱をされました。

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 1988年は、PCIの勃興期あたりです。冠動脈血栓溶解療法が始まっており、POBAも安定期主体で行われていました。

  急性期の冠動脈造影所見の集積があって、上記のようなことも、理解され始めました。

  なお、当時は冠動脈造影は、CABG前提以外は危険なので、やってはいけない・・なんて書いている教科書もありましたね。

 Wellens syndromeのポイントは、(胸痛発作のある患者)の(胸痛が無い時)の心電図所見だと云うことです。

  V2,3の陰性T波 又は 二相性T波が、胸痛の間欠期に出現していることが、心筋虚血のアラームだと云うのです。

  (胸痛のエピソード)+(V2,3の陰性T波)で、前下行枝近位部に、すぐに心筋梗塞に移行しそうな重篤な病変がある!との警告です。

  想像ですが、きっと以下のような心電図変化が、入院前に起きていたんでしょう。

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 この症例では、PCIにより#6の閉塞を解除した2日後に二相性陰性T波を、V2,3に認めています。

  これは、虚血が解除された後の心電図変化と捉えれば、Wellens syndromeの変化に当てはまることがわかります。まあ、PCI(stent)で閉塞を解除してますので、再度胸痛が来る可能性は、ほとんどありません。

  胸痛時は、陰性T波から、ST上昇としての陽性T波となり、一見正常な心電図に見えたりする訳です。

  ECG-211の症例も、ER搬入前の胸痛間欠期には、陰性(二相性)T波が出現していた可能性は、十分有ります。

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