ECG-060:answer
ECG-060:81才女性のERでの心電図です。
右視床出血後、高血圧、顕微鏡的多発血管炎、シェーグレン症候群の患者です。
主訴は、嘔吐と胸部不快感でした。
心電図の所見は、
◎ 洞調律、不整脈なし。
◎ V2-5での広範な冠性TとST上昇を認めます。
◎ III,aVFでは、QS pattern。
胸痛のセットですので、ACSでの変化と考えるのが自然です。
幸い、2カ月前の心電図がありました。
以前の心電図と比較するのは、ACSでは、絶対的価値を持ちます。急性変化との診断が妥当ですね。
通院患者であれば、必ず以前の心電図と比較して下さい。
紹介患者の場合は、可能ならばすぐに以前の心電図をFaxしてもらって下さい。
心エコーで、広範囲の前壁の壁運動障害を認めています。
III,aVFでは、QS patternは、心尖部を巻く長いLADのためかもしれません。
但し、2カ月前の心電図でも、III誘導は、QS patternです。
III誘導は、虚血がなくても、Q波は容易に出現するので、要注意です。
その後の経過ですが、
緊急の冠動脈造影で、LAD Seg-6=90%、Seg-7=99%であった。固い病変で、GWしか通過しませんでした。でもCPK上昇なく、AMIではなく不安定狭心症で済んだようです。ですが、同夜下血しました!GIFでは胃炎のみ。CFは、sigmoidまで観察するも、問題を認めませんでした。
ロータブレータ-目的で、近医へ紹介しています。
*後日、冠動脈造影の所見をUpいたします。