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Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-082:answer

ECG-082:86才女性。TIA症状で歩行来院された女性です.

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入院時の心電図では、著変はないと云えばないですね。
V4のST上昇が、なんとなく私は気になりますが、胸部症状で来たのではなく、TIA症状ですので、循環器精査すぐに!とは、なかなかなりません。
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呼吸不全症状が前景化した3日目の心電図では、
◎ V1-3のST上昇と、r 波の減高。
◎ STの全体的低下。
が、気になります。
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胸部レントゲンは、明らかなうっ血です。
心不全治療を、開始しつつ、心エコーが施行されました。
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心尖部を主体として、akinesisを生じています。
心基部が、代償性にhyperkineticかと云うと、それほどでもない。
たこつぼ心筋症〕の典型例では、心基部がやらたhyperkineticですが、心エコーだけで、虚血かたこつぼかを、鑑別するのは、困難です。
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心カテです。RCAから。
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LCAです。
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LMTを含む三枝病変でした。
この直後に、PCIが施行されました。
大変な戦いでしたが、それは別のお話です。
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最初の心電図を振り返りましょう。
三枝病変とは、想像し難いですよね。
このように、全冠動脈が障害を受けたとき、12誘導心電図が一見正常に見えることが、時々あります。
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正常な部分がベースにあり、一部が異常(虚血)だとコントラストが生じて、心電図所見が出やすくなります。
みんなが悪いと、お互いが〔牽制〕しあって、一見正常化する、と云う理屈です。
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この症例にもし、Treadmillを施行したら、1分も立たない内に、STが著明に低下して(5〜6mm)慌てて終了するも、5分してもST低下が戻らない、なんてことになるでしょう。もちろん、施行すること自体、禁忌に近いですけど。。
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これは、12誘導心電図の限界性を意味しません。
心電図は、起きている電気現象を、素直に描出してくれます。
こんなこともあるんだ、と我々が心得ておくべき症例でした。
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それにしても、TIAは、目眩ましでした。
DMは、怖いんですよ。。
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