ECG-157:answer
ECG-157:61才男性。心窩部痛で内視鏡検査を行い、gastric cancerの診断で、当院外科紹介となりました。以前、当院でACSの治療を受けています。術前の循環器科への紹介です。
運動負荷の心電図判断は、微妙なところがあります。
左室肥大や心筋虚血の既往があると、それだけでも運動負荷でST低下は発生します。左脚ブロックやall-pacingだと、ST-T変化の判定自体が不能です。
逆に、トレッドミルの素晴らしいところは、歩行・速歩と云う日常的運動状況での、心筋虚血の評価ができることですね。
この症例では、トレッドミル負荷陰性所見を得ることで、心カテなしでの胃癌手術施行を行う・・つもりでした、私は。
困ってしまって、冠動脈造影CTを施行しております。
. どうも、2枝病変のようです。(#2 total, #6 total occlusion)
その後施行した冠動脈造影でも、同じ所見が確認されています。
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*II, III, aVF,V2-6 で、明らかなST低下を示しています。
*そのST低下は、水平型(horizontal)のパターンです。
*年齢別予測最大心拍数になる前での変化です。
*但し、自覚症状(胸痛・胸焼け・呼吸苦)はありません。
*気になる不整脈発作は、出現しませんでした。血圧低下無し。
無症候であるが、有意な2枝病変をどうするのか?議論となりましたが、胃癌の手術を行う状況で、抗血小板療法を前提としたステント留置は、不利益が大きい。自覚症状がない=患者さんが困っていない。手術を優先させることになりました。開腹手術周辺での虚血発作出現も無く、順調に経過しております。(進行がんで、再発リスクは高いのですが)
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