ECG-107:answer
ECG-107:69才男性。他の理由で入院した患者の心電図でした。
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Answer = ASD, 肺高血圧症。
精神病院で長らく暮らして(入院して)いる方です。穏やかな方でした。今回は、脱水・食思不振での入院でした。補液ですぐに治りました。mental returdationが基礎に有り、今まで循環器的診断が、遅れていたようです。
心電図を、素直に判定します。
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◎ 洞調律です。
◎ CRBBB(ぎりぎり)でしょうか。
◎ V1,2のP波右房成分がやや尖っている(読み過ぎかも。。)
◎ 移行帯が、V5-V6の間となっている。
◎ V2-5のST-T変化が、ちょっと変。
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右心負荷像と、素直に判定しましょう。
→V5,6のS波が深く狭いのは、RVHの反映でしょう。
→Pulmonary-Pにも、見えますが、これは感度・特異度低く、あまり当てにしないようにしましょうね。
→移行帯が、V5-V6になっているのは、右心系の拡大を意味しているのでしょう。
→V1のT陰転は、優しい形をしており、CRBBBの二次変化で納得できます。
→V2以後は、ややstarin-pattern風で、かつT波最終部が陽転しています。
→V1-4のR’も幅が狭い。RVHによる変化と考えると、わかりやすい。
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「ただのCRBBBにしては、何か変だな。心エコーやってみるかな。聴診でIIp成分の亢進があるかも。右心負荷の有無を確かめてみよう」
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と思えれば、もう十分に心電図の役割は果たされています。
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この年齢での右心負荷は、COPDの進行例・肺塞栓の繰り返し・膠原病(ex.強皮症)の進行像をまず疑いそうですが、この症例は先天性心疾患の初回指摘例でした。
心房中隔欠損(ASD)は、低圧系(心房)でのシャントであり、成人になるまで見逃されることは、よくありました。現在は学校の検診システムと心エコーの発達で、発見されずに成人となる方が、難しいですね。
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心窩部からのtranshepaticな4腔像です。心房中隔に垂直となるために、ASDの右房→左房への短絡血流が、カラードプラで(赤色に)きれいに描出されています。
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心房中隔の欠損部分も、きれいにわかりますね、大きいから。
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同じ心窩部からの左室短軸像です。右室の拡大と心室中隔の拡張期の平坦化=右室圧上昇を、認めます。
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