ECG-124:answer
誰が見ても、ACSです。
II, III, aVF のST上昇が主体で、V1-4,aVLでのST低下がミラーイメージですね。
am6→am7の時間経過で、V6の新たなST上昇が認められます。
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(ECG-124:am6時の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
赤→:II, III, aVFでのST上昇を認めます。
緑→:ミラーイメージとしての、ST低下です。V1-4,aVLで認めます。
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(ECG-124:一時間後のam7時の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
赤→:V6で、新たなST上昇が認められます。
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このような短時間で心電図でのST変化が出現することも、ACSの証左となります。なお、搬入時の血液検査では、まだCPK, トロポニン-I は、有意の上昇を示していませんでした。
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● 心房細動です。
● 下壁・後壁・側壁の梗塞パターンです。
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下記は、この症例の冠動脈造影です。
RCA(右冠動脈)は、とても小さく、右室しか栄養していません。
LAD(前下行枝)は、心尖部を巻くくらい大きめです。
Lcx(回旋枝)も、相対的に大きいはずです。支配領域は、RCAがほとんどないのですから、下壁・後壁・そしてLcxの守備領域である側壁です。
この症例では、PCIを施行し、再疎通に成功して(POBA)、ステント留置を行う準備中に、突然の心肺停止を来しました。PCPSを含め、あらゆる対応を試みるも、心臓は蘇りませんでした。
ご遺体の解剖にて、後側壁のスリット状の心破裂を確認しました。病理的には、心筋障害部はまだ好中球浸潤のレベルであり、ACS早期の心破裂でした。
このように、急性期に懸命に戦っても、神に持って行かれるACS症例があります。
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