heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-124:answer

 誰が見ても、ACSです。
 II, III, aVF のST上昇が主体で、V1-4,aVLでのST低下がミラーイメージですね。
 am6→am7の時間経過で、V6の新たなST上昇が認められます。
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(ECG-124:am6時の心電図)

E124am6

クリックすると、ECGが拡大します。

赤→:II, III, aVFでのST上昇を認めます。

緑→:ミラーイメージとしての、ST低下です。V1-4,aVLで認めます。

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(ECG-124:一時間後のam7時の心電図)

E124am7

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赤→:V6で、新たなST上昇が認められます。

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このような短時間で心電図でのST変化が出現することも、ACSの証左となります。なお、搬入時の血液検査では、まだCPK, トロポニン-I は、有意の上昇を示していませんでした。
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● 心房細動です。
● 下壁・後壁・側壁の梗塞パターンです。
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 下記は、この症例の冠動脈造影です。
 RCA(右冠動脈)は、とても小さく、右室しか栄養していません。
 LAD(前下行枝)は、心尖部を巻くくらい大きめです。
 Lcx(回旋枝)も、相対的に大きいはずです。支配領域は、RCAがほとんどないのですから、下壁・後壁・そしてLcxの守備領域である側壁です。

E124controlcag

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 自由壁を主に担当するLcxは、その障害だけでは、心不全を発生することは、普通有りません。しかし、他の冠動脈領域が代償性に過剰運動をすることで、ACS急性期に亀裂を生じ、心破裂を起こすことがあります。

E124pci

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 この症例では、PCIを施行し、再疎通に成功して(POBA)、ステント留置を行う準備中に、突然の心肺停止を来しました。PCPSを含め、あらゆる対応を試みるも、心臓は蘇りませんでした。
 ご遺体の解剖にて、後側壁のスリット状の心破裂を確認しました。病理的には、心筋障害部はまだ好中球浸潤のレベルであり、ACS早期の心破裂でした。
 このように、急性期に懸命に戦っても、神に持って行かれるACS症例があります。
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