heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-136:answer

ECG-136:59才男性です。

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◎  冷汗を伴う頻回の胸部不快発作。
◎  中年男性である。(中年期=45-64才)
◎  喫煙者で、heavy-smokerである。
◎  ASO術後である。
◎  高血圧・脂質異常症を、放置している。
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 これだけレッドフラッグが揃ったら、
心電図がどうであれ、心エコー検査結果がどうであれ、血液検査結果がどうであれ、狭心症を鑑別から外すことはできません。
 もちろん、他の疾患(大動脈解離・肺塞栓・胆石発作etc.)も除外していきます。
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 この症例では、搬入時での検査では、
* 心エコーでの壁運動障害は、eyeballレベルでの問題なし。
* トロポニン-Iは、0.06
*  電解質異常なし。炎症反応無し。
*  肺塞栓、大動脈解離もなし!
 の、状況でした。
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 しかし、上記病歴と患者さんの状況から、心カテを選択しました。

E136cagset

クリックすると、拡大します。

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 さて、今回の心電図です。

 V1-4のSTが上昇しかつ尖っています。

 ACSの超急性期・・にしては、危険な感じはしません。

 後壁の冠性T波のミラーイメージが、想起されます。でも、心エコーでの壁運動障害は、肉眼的にはありませんでした。HCM様の心筋肥大の局在性もなし、です。

 CPK値も、経過中ありません。血清カリウム値も正常です。

 トロポニン-I値のみ、0.060まで上昇しました。

 なお、この高いT波は、経過中あんまり変化しておりません。

E13600061728ecgtimeflow

クリックすると、ECGが拡大します。

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 回旋枝の病変での狭心症でしたので、後壁の虚血の現れと思いたいのですが、15日経過しても変化が少ないです。

 冠性T波は、数ヶ月位して消失することもありますので、まだまだ経時的に追跡が必要です。

 もっとも、単なる normal varietion に過ぎないかも。。

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 教訓

【医師の直感を信じて、緊急心カテはあり!です。】

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