ECG-136:answer
ECG-136:59才男性です。
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◎ 冷汗を伴う頻回の胸部不快発作。
◎ 中年男性である。(中年期=45-64才)
◎ 喫煙者で、heavy-smokerである。
◎ ASO術後である。
◎ 高血圧・脂質異常症を、放置している。
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これだけレッドフラッグが揃ったら、
心電図がどうであれ、心エコー検査結果がどうであれ、血液検査結果がどうであれ、狭心症を鑑別から外すことはできません。
もちろん、他の疾患(大動脈解離・肺塞栓・胆石発作etc.)も除外していきます。
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この症例では、搬入時での検査では、
* 心エコーでの壁運動障害は、eyeballレベルでの問題なし。
* トロポニン-Iは、0.06
* 電解質異常なし。炎症反応無し。
* 肺塞栓、大動脈解離もなし!
の、状況でした。
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しかし、上記病歴と患者さんの状況から、心カテを選択しました。
クリックすると、拡大します。
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さて、今回の心電図です。
V1-4のSTが上昇しかつ尖っています。
ACSの超急性期・・にしては、危険な感じはしません。
後壁の冠性T波のミラーイメージが、想起されます。でも、心エコーでの壁運動障害は、肉眼的にはありませんでした。HCM様の心筋肥大の局在性もなし、です。
CPK値も、経過中ありません。血清カリウム値も正常です。
トロポニン-I値のみ、0.060まで上昇しました。
なお、この高いT波は、経過中あんまり変化しておりません。
クリックすると、ECGが拡大します。
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回旋枝の病変での狭心症でしたので、後壁の虚血の現れと思いたいのですが、15日経過しても変化が少ないです。
冠性T波は、数ヶ月位して消失することもありますので、まだまだ経時的に追跡が必要です。
もっとも、単なる normal varietion に過ぎないかも。。
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教訓
【医師の直感を信じて、緊急心カテはあり!です。】
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