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Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-304:answer

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 ACSを考えるしか、ありませんね。他は、考えられない。

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ACS診断における心電図の役割は、(これはACSだ!)と警告する事で病変の局在診断はあまり意味を持たない、なのですが、これはちょっと例外でした。

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 心電図解析をする前に、直後に施行されたCAG/PCIを、提示します。

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Ecg3044cagprepciweb

クリックすると、拡大します。

 

 

困りました。RCA(#2)が完全閉塞です。LCX(#12)も、完全閉塞です。どっちが、今回の責任病変なんでしょうか?

さらに、LAD(#6)にも高度有意狭窄を認める三枝病変でした。

なお、左冠動脈より右冠動脈へ、しっかりとした側副血行路を認めています。

 

心カテの動画を提示します。

 

 

(prePCI-LCA-#12 obstruction)

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(prePCI-LCA-collateral to RCA)

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(prePCI-RCA-total obstruction)

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 さらに、LAD(#6)にも高度有意狭窄を認める三枝病変でした。

 挿管されて、IABP補助下でのPCIです。

 結果、LCX(#12)LAD(#8)→(#6)と、PCI/stent留置を施行しております。

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Ecg3045cagballooningweb

クリックすると、拡大します。

 

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Ecg3046postpciweb

クリックすると、拡大します。

 

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さて、救急での発症時の心電図を解析しましょう。

 

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Ecg3042erweb

クリックすると、ECGが拡大します。

  

これは、STEMIなんです。ST低下主体なんですけど、よく見るとST上昇が V6,aVL, I  誘導で、認められます。

 少し悩みます。側壁・高位側壁のACSのはずです。しかし、ST低下がそのミラーイメージと納得するには、広範囲すぎます。回旋枝一枝病変と理解するには、心電図変化が複雑すぎます。

RCAの病変が主因だと、 II, III, aVF  誘導でのST低下が説明困難です。

 

回旋枝の閉塞が、今回のACSの主因と判定しております。

LADより、RCAへ側副血行路が流れているのも、時間の経過したRCAの閉塞病変であることを、示唆します。)

 

 

PCI後の心電図です。

 

Ecg3043pciweb

 

 

 

 

 今回ばかりは、責任冠動脈を判定するのに、12誘導心電図が活躍してくれました。

 

 

ER心電図の役目は、ACSだと警鐘を鳴らすこと 

 

RCA/LCXの二枝病変では、責任冠動脈推定に役立つ、カモ! 

 

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ECG-304:80才代女性。三日前からの胸痛発作と倦怠感です。

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 80才代女性。三日前からの胸痛発作と倦怠感です。

 高血圧・高コレステロール血症にて、外来管理されていた独居の女性です。一人で通院できる元気な方です。

 

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  三日前より、胸部不快感が出現するようになりました。どうしようもない倦怠感で、本日昼にER受診です。

 

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Question:心電図診断を、お願いします。

                  責任病変と、冠動脈の状態を、推定して下さい。

 

 

Ecg3041er

クリックすると、ECGが拡大します。

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ECG-303:answer

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 結論を先に述べます。

   頻脈性の発作性心房細動でした!

 

 PSVTを念頭に、ATP 10mg one shot 静注を行いました。(静注後に、生食でフラッシュを行います)

 

 ◎これで治れば、PSVT

 ◎RRが延長する事で、Atrial flutter, rapid-Afib.等の鑑別が出来る。

 

 上記のロジックで、ATPを静注しつつ、12誘導心電図記録を行いました。

 

 

 あれれれ・・・・。

 

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クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

 

Ecg3034rapidafibatponeshot2web

クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

 

  ATP静注後に、RR延長が認められ、同時に基線部にfibrillation waveが認められました。RR間隔も、明瞭に揺らぎを見せます。ATP効果最大時は、こんなにRR間隔が延びます。(すぐに失活するから、使えるんですけどね。)

 

 

 その後、verapamilを点滴投与して、ビソノテープ(β-blocker)を貼付して心拍数を安定化させました。

 

 

 

 事前に、rapid-Afib.だと、診断出来なかったのか?

 もう一度、振り返って見ました。

 

 

 Monitor-ECG(ATP投与前)の連続記録です。

 

Ecg3035web

 

クリックすると、ECGが拡大します。

 

 う~ん、よく分かりません。RR間隔が揃って見えます、私には。

 

 なお、100bpm以上となると、III,IV音の分離も困難です。聴診での判定は無理です。心エコーでも、E波とA波が重なるので、判別困難です。

 

 

 Monitor-ECG(ATP急速静注時)の連続記録です。

 

Ecg3036aptoneshotweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

 ATPにより、房室伝導が強く抑制されています。おかげで、心房細動波がしっかりと記録され、RR間隔の不正も明瞭となりました。

 

 

 

 Monitor-ECG(verapamil投与後)の連続記録です。

 

Ecg3037verapamilweb

 

クリックすると、ECGが拡大します。

 
 

 ワソラン(verapamil)により、房室伝導がほどよく抑制されています。誰が見ても、心房細動です。

 

 

 以前、ECG-301で、以下のように、述べました。

 

 

=頻脈性心房細動=

 これは、よく間違います。

 RRの不整は、頻脈の場合に見えがたいものです。長めの記録をしてRR不整をの有無を、見極めて下さい。

 

 

 事前によく考えたのですが、たぶんPSVTとの判定で、ATP静注となりました。やれやれ。

 除細動より、rate-controlを選択しました。

 ワソラン(verapamil)の点滴で、その場を凌ぎつつ、最終的にビソノテープ(β-blocker)での加療となっております。

 

 

narrow QRS tachycardia の鑑別は難しい 

 

narrow QRS tachycardia の鑑別には、12誘導心電図が必須です 

 

narrow QRS tachycardia の鑑別に薬剤使用は、ありです 

        →但し、ATP静注はそれなりの副作用があるので、

     バックアップがなければ、難しいです。

 

 

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ECG-303:90才女性。入院中の頻拍発作です。

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90才女性です。 

 

 

 以下の状況で、あなたはこの心電図を見ることになりました。

 

*  日曜日の病棟日直です。

*  小さな病院で、救急搬入は無く、病棟対応だけです。

*  相棒は、熟練の消化器医です。でも、心電図は苦手です。

*  患者さんは、意識障害・脱水での入院でした。

*  お昼頃に、突然の頻脈に看護師が気付き、モニター心電図を装着。

*  頻脈以外のバイタルサインに大きな狂いは生じていません。

*  自覚症状無し。

 

 入院時と、頻脈発作時の心電図を示します。

 

(入院時の心電図)

 

Ecg3031web_2

クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

 

(頻拍発作出現時の心電図)

 

Ecg3030720161620181021111290womanta

クリックすると、ECGが拡大します。


 

 

 

Question:頻拍発作の診断をお願いします。

                  (次に、どう対応するか、考えて下さい)

 

 a.)   DCを施行する。

 b.)   ワソランの緩徐静注を行う。

 c.)   ATPの急速静注を行う。

 d.)   経過観察する。

 e.)   心電図の達人に、SNSで相談する。

 

 

注:どれが正解という事ではありません。どう考えるかです。

 

 

 

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  まず、ECG-042の症例を、再度紹介します。RCA-ACSでした。

 

 

  下後壁梗塞の症例の経時的心電図変化です。。 

 

 

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クリックすると、ECGが拡大します。

 

 

 

 II, III, aVFST上昇とaVLでのST低下は、下壁梗塞のお約束です。

 V1-3ST低下とT波陰転化が、経時的にtall-Tに変化しています。V2,3R波は増高しており、後壁のQ波も想像させます。

 

 

 前壁誘導で、後壁誘導のST-T変化を起こす=ミラーイメージの説明図です。自著より、引用します。

 

 

Ecg3026

 

 

 上記の知識を持って、今回の症例を考えて診ます。

 

 

 

 陳旧性の心筋梗塞患者さんです。

 

 II,III,aVFでは、Q波とT波陰転を認めます。

 (これだけ揃うと、下壁の心筋梗塞はほぼ確定です。)

 

 もうひとつ気になるのは、V1.2でのtall-T波です。

 

 後壁の陰性T波のミラーイメージと考えると、理解しやすいです。

 (そうでなければ、HCMによる変化を想定します、私は。)

 

 後壁の誘導まで、記録してみました。 

 

 

Ecg302212v789web

 

 

 

 う~ん、悩みました。

 V1.2でのtall-T波です。

 V7,8,9の誘導を見ると、深い冠性T波がありません。ミラーイメージで説明出来ませんね(-_-;*)。なお、高K血症はありません。

 心エコーでは、下後壁の壁運動低下あり、特に後壁には心室瘤を形成しています。(でも、とてもお元気です)

 

  以下に動画を提示します。

 

 表面的な心電図理論と合わない心電図波形もある 

 

 

*左室長軸断層01

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*左室長軸断層02

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4C

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ECG-302:80才代男性。外来での定期心電図記録です。

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   20年ほどの外来でのお付き合いです。

   元気に通院されています。問題なしの状況です。

 

  定期の心電図記録です。いつも同じです。ドラマは20年前にあり、その後は安定しております。

 

 

Question:心電図診断を、お願いします。

 

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クリックすると、ECGが拡大します。

 

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コラム-097:正常心筋細胞の細胞膜電位の美しい図です。

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 前回は、高カリウム血症時のテント状T波発生機序を、電気生理学的に説明する、を行いました。

 私は、とても勉強になりました。

 でも、親切な説明とは、見返しても云えませんでした。

 

 正常な心筋細胞の(細胞膜電位の変動)を、丁寧かつスマートに説明します。

 

 メディカルシステム研修所所長:岡田保紀 氏の著書

 

 心電図のこころ p-22の図を、著者の許可を得て、掲載します。

 

 http://www.kenn.co.jp/tuhan.htm

 

 (2400円。189ページ。まるごと心電図解説。上記websiteより購入可)

 心電計自体・心筋の電気生理学を、学びたい方にお勧めします。波形パターンを覚えるのではなく、生理学としてアプローチしたい方は必須です。

 

 

20181006web

 

 

 心筋細胞の電気的興奮が、一目瞭然の素晴らしい図です。

 

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(1)分極状態

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 -90mVの分極で、静かな状態です。心筋は動いておりません。

 (4相です)

 Ik1が、この分極状態を維持しています。

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(2)脱分極 の開始

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 Na+イオンが急速に内向き(細胞内)へ流入です。

 バケツの底を抜いたような、と私は表現しております。

 細胞膜電位は、-90Vから一挙にプラスへ上昇します。

0相です)

  Naチャネルが関与します。パッと開いて、すぐに閉じられます。

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 図の真ん中に、Kが一瞬多く出て、とあります。IkTOです。

 (1相です)

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(3)脱分極継続

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 Ca2イオンが緩徐に内向き(細胞内)へ流入です。

 じょうろで流すように、と表現してます。

 このCa流入が刺激となって、筋小胞体よりCa2が沢山リリースされます。

 →そしてミオシンとアクシンが重合し、物理的心筋収縮が発生します。

 (2相です)

 Caチャネルが関与します。ゆっくりとした流入が収縮継続を維持します。

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(4)再分極

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 K+イオンが、外向き(細胞外)へ流出です。

 複数のK+チャネルが共同して作動します。

 (3相です)

 Ikur,Ikr,Iks、そしてIk1チャネルが関与します。

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 再び、静かな時が流れます。

 静止膜電位は-90mVに安定化されます。

 =再分極の維持で、Ik1チャネルがコントロールしています。

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 図の中央を見ると分かるように、カリウムチャネルは、持続的に細胞外へだらだらと流出しています。これは、静止膜電位を-90mVに保ち、安定状況を得るためです。

 一方向流出で、なんでカリウムイオンが細胞内から枯渇しないのかは、Na/Kポンプ等で、逆に細胞内への取込がされているためです。そのバランスは、難しくてよく分かりません(_?)

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 さて、これを学んでも、体表面心電図たる12誘導心電図波形とどうリンクしているの?が、知りたいですよね。

 上記の図は、心筋細胞内での電位変化の概念図です。体表面心電図は、その心筋細胞興奮の総和で、イコールではないのですが、ざっくり以下の関係となります。

 心電図のこころ p-24 より。

 

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◎ 細胞内電位の高まりの集合体がQRS

 

◎ 再分極過程が、T

 

  と、理解出来ますね。

 

 引用したい図譜が、まだまだ沢山ありますが、はっと気付いたら全ページ引用となってしまいます。

 後は、ご自身で確認されて下さい。素敵な本です。

 

 図譜引用を、ご許可頂き、岡田保紀氏に、感謝です。.

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