ECG-304:answer
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ACSを考えるしか、ありませんね。他は、考えられない。
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ACS診断における心電図の役割は、(これはACSだ!)と警告する事で病変の局在診断はあまり意味を持たない、なのですが、これはちょっと例外でした。
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心電図解析をする前に、直後に施行されたCAG/PCIを、提示します。
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クリックすると、拡大します。
困りました。RCA(#2)が完全閉塞です。LCX(#12)も、完全閉塞です。どっちが、今回の責任病変なんでしょうか?
さらに、LAD(#6)にも高度有意狭窄を認める三枝病変でした。
なお、左冠動脈より右冠動脈へ、しっかりとした側副血行路を認めています。
心カテの動画を提示します。
(prePCI-LCA-#12 obstruction)
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(prePCI-LCA-collateral to RCA)
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(prePCI-RCA-total obstruction)
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さらに、LAD(#6)にも高度有意狭窄を認める三枝病変でした。
挿管されて、IABP補助下でのPCIです。
結果、LCX(#12)→LAD(#8)→(#6)と、PCI/stent留置を施行しております。
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クリックすると、拡大します。
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クリックすると、拡大します。
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さて、救急での発症時の心電図を解析しましょう。
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クリックすると、ECGが拡大します。
これは、STEMIなんです。ST低下主体なんですけど、よく見るとST上昇が V6,aVL, I 誘導で、認められます。
少し悩みます。側壁・高位側壁のACSのはずです。しかし、ST低下がそのミラーイメージと納得するには、広範囲すぎます。回旋枝一枝病変と理解するには、心電図変化が複雑すぎます。
RCAの病変が主因だと、 II, III, aVF 誘導でのST低下が説明困難です。
回旋枝の閉塞が、今回のACSの主因と判定しております。
(LADより、RCAへ側副血行路が流れているのも、時間の経過したRCAの閉塞病変であることを、示唆します。)
PCI後の心電図です。
今回ばかりは、責任冠動脈を判定するのに、12誘導心電図が活躍してくれました。
【 ER心電図の役目は、ACSだと警鐘を鳴らすこと 】
【 RCA/LCXの二枝病変では、責任冠動脈推定に役立つ、カモ! 】
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ECG-304:80才代女性。三日前からの胸痛発作と倦怠感です。
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80才代女性。三日前からの胸痛発作と倦怠感です。
高血圧・高コレステロール血症にて、外来管理されていた独居の女性です。一人で通院できる元気な方です。
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三日前より、胸部不快感が出現するようになりました。どうしようもない倦怠感で、本日昼にER受診です。
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Question:心電図診断を、お願いします。
責任病変と、冠動脈の状態を、推定して下さい。
クリックすると、ECGが拡大します。
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ECG-303:answer
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結論を先に述べます。
頻脈性の発作性心房細動でした!
PSVTを念頭に、ATP 10mgの one shot 静注を行いました。(静注後に、生食でフラッシュを行います)
◎これで治れば、PSVT
◎RRが延長する事で、Atrial flutter, rapid-Afib.等の鑑別が出来る。
上記のロジックで、ATPを静注しつつ、12誘導心電図記録を行いました。
あれれれ・・・・。
クリックすると、ECGが拡大します。
クリックすると、ECGが拡大します。
ATP静注後に、RR延長が認められ、同時に基線部にfibrillation waveが認められました。RR間隔も、明瞭に揺らぎを見せます。ATP効果最大時は、こんなにRR間隔が延びます。(すぐに失活するから、使えるんですけどね。)
その後、verapamilを点滴投与して、ビソノテープ(β-blocker)を貼付して心拍数を安定化させました。
事前に、rapid-Afib.だと、診断出来なかったのか?
もう一度、振り返って見ました。
Monitor-ECG(ATP投与前)の連続記録です。
クリックすると、ECGが拡大します。
う~ん、よく分かりません。RR間隔が揃って見えます、私には。
なお、100bpm以上となると、III,IV音の分離も困難です。聴診での判定は無理です。心エコーでも、E波とA波が重なるので、判別困難です。
Monitor-ECG(ATP急速静注時)の連続記録です。
クリックすると、ECGが拡大します。
ATPにより、房室伝導が強く抑制されています。おかげで、心房細動波がしっかりと記録され、RR間隔の不正も明瞭となりました。
Monitor-ECG(verapamil投与後)の連続記録です。
クリックすると、ECGが拡大します。
ワソラン(verapamil)により、房室伝導がほどよく抑制されています。誰が見ても、心房細動です。
以前、ECG-301で、以下のように、述べました。
=頻脈性心房細動=
これは、よく間違います。
RRの不整は、頻脈の場合に見えがたいものです。長めの記録をしてRR不整をの有無を、見極めて下さい。
事前によく考えたのですが、たぶんPSVTとの判定で、ATP静注となりました。やれやれ。
除細動より、rate-controlを選択しました。
ワソラン(verapamil)の点滴で、その場を凌ぎつつ、最終的にビソノテープ(β-blocker)での加療となっております。
【 narrow QRS tachycardia の鑑別は難しい 】
【 narrow QRS tachycardia の鑑別には、12誘導心電図が必須です 】
【 narrow QRS tachycardia の鑑別に薬剤使用は、ありです 】
→但し、ATP静注はそれなりの副作用があるので、
バックアップがなければ、難しいです。
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ECG-303:90才女性。入院中の頻拍発作です。
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90才女性です。
以下の状況で、あなたはこの心電図を見ることになりました。
* 日曜日の病棟日直です。
* 小さな病院で、救急搬入は無く、病棟対応だけです。
* 相棒は、熟練の消化器医です。でも、心電図は苦手です。
* 患者さんは、意識障害・脱水での入院でした。
* お昼頃に、突然の頻脈に看護師が気付き、モニター心電図を装着。
* 頻脈以外のバイタルサインに大きな狂いは生じていません。
* 自覚症状無し。
入院時と、頻脈発作時の心電図を示します。
(入院時の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
(頻拍発作出現時の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
Question:頻拍発作の診断をお願いします。
(次に、どう対応するか、考えて下さい)
a.) DCを施行する。
b.) ワソランの緩徐静注を行う。
c.) ATPの急速静注を行う。
d.) 経過観察する。
e.) 心電図の達人に、SNSで相談する。
注:どれが正解という事ではありません。どう考えるかです。
ECG-302:answer
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まず、ECG-042の症例を、再度紹介します。RCA-ACSでした。
下後壁梗塞の症例の経時的心電図変化です。。
クリックすると、ECGが拡大します。
II, III, aVFのST上昇とaVLでのST低下は、下壁梗塞のお約束です。
V1-3でST低下とT波陰転化が、経時的にtall-Tに変化しています。V2,3のR波は増高しており、後壁のQ波も想像させます。
前壁誘導で、後壁誘導のST-T変化を起こす=ミラーイメージの説明図です。自著より、引用します。
上記の知識を持って、今回の症例を考えて診ます。
陳旧性の心筋梗塞患者さんです。
II,III,aVFでは、Q波とT波陰転を認めます。
(これだけ揃うと、下壁の心筋梗塞はほぼ確定です。)
もうひとつ気になるのは、V1.2でのtall-T波です。
後壁の陰性T波のミラーイメージと考えると、理解しやすいです。
(そうでなければ、HCMによる変化を想定します、私は。)
後壁の誘導まで、記録してみました。
う~ん、悩みました。
V1.2でのtall-T波です。
V7,8,9の誘導を見ると、深い冠性T波がありません。ミラーイメージで説明出来ませんね(-_-;*)。なお、高K血症はありません。
心エコーでは、下後壁の壁運動低下あり、特に後壁には心室瘤を形成しています。(でも、とてもお元気です)
以下に動画を提示します。
【 表面的な心電図理論と合わない心電図波形もある 】
*左室長軸断層01
*左室長軸断層02
*4C
ECG-302:80才代男性。外来での定期心電図記録です。
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20年ほどの外来でのお付き合いです。
元気に通院されています。問題なしの状況です。
定期の心電図記録です。いつも同じです。ドラマは20年前にあり、その後は安定しております。
Question:心電図診断を、お願いします。
クリックすると、ECGが拡大します。
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コラム-097:正常心筋細胞の細胞膜電位の美しい図です。
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前回は、高カリウム血症時のテント状T波発生機序を、電気生理学的に説明する、を行いました。
私は、とても勉強になりました。
でも、親切な説明とは、見返しても云えませんでした。
正常な心筋細胞の(細胞膜電位の変動)を、丁寧かつスマートに説明します。
メディカルシステム研修所所長:岡田保紀 氏の著書
心電図のこころ p-22の図を、著者の許可を得て、掲載します。
http://www.kenn.co.jp/tuhan.htm
(2400円。189ページ。まるごと心電図解説。上記websiteより購入可)
心電計自体・心筋の電気生理学を、学びたい方にお勧めします。波形パターンを覚えるのではなく、生理学としてアプローチしたい方は必須です。
心筋細胞の電気的興奮が、一目瞭然の素晴らしい図です。
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(1)分極状態
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-90mVの分極で、静かな状態です。心筋は動いておりません。
(4相です)
Ik1が、この分極状態を維持しています。
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(2)脱分極 の開始
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Na+イオンが急速に内向き(細胞内)へ流入です。
バケツの底を抜いたような、と私は表現しております。
細胞膜電位は、-90mVから一挙にプラスへ上昇します。
(0相です)
Naチャネルが関与します。パッと開いて、すぐに閉じられます。
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図の真ん中に、Kが一瞬多く出て、とあります。IkTOです。
(1相です)
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(3)脱分極継続
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Ca2+イオンが緩徐に内向き(細胞内)へ流入です。
じょうろで流すように、と表現してます。
このCa流入が刺激となって、筋小胞体よりCa2+が沢山リリースされます。
→そしてミオシンとアクシンが重合し、物理的心筋収縮が発生します。
(2相です)
Caチャネルが関与します。ゆっくりとした流入が収縮継続を維持します。
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(4)再分極
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K+イオンが、外向き(細胞外)へ流出です。
複数のK+チャネルが共同して作動します。
(3相です)
Ikur,Ikr,Iks、そしてIk1チャネルが関与します。
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再び、静かな時が流れます。
静止膜電位は-90mVに安定化されます。
=再分極の維持で、Ik1チャネルがコントロールしています。
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図の中央を見ると分かるように、カリウムチャネルは、持続的に細胞外へだらだらと流出しています。これは、静止膜電位を-90mVに保ち、安定状況を得るためです。
一方向流出で、なんでカリウムイオンが細胞内から枯渇しないのかは、Na/Kポンプ等で、逆に細胞内への取込がされているためです。そのバランスは、難しくてよく分かりません(・_・?)。
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さて、これを学んでも、体表面心電図たる12誘導心電図波形とどうリンクしているの?が、知りたいですよね。
上記の図は、心筋細胞内での電位変化の概念図です。体表面心電図は、その心筋細胞興奮の総和で、イコールではないのですが、ざっくり以下の関係となります。
心電図のこころ p-24 より。
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◎ 細胞内電位の高まりの集合体が、QRS
◎ 再分極過程が、T波
と、理解出来ますね。
引用したい図譜が、まだまだ沢山ありますが、はっと気付いたら全ページ引用となってしまいます。
後は、ご自身で確認されて下さい。素敵な本です。
図譜引用を、ご許可頂き、岡田保紀氏に、感謝です。.
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