heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-113:answer

ECG-113:90才男性。突然の心窩部痛で深夜ER搬入された症例です。

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 心電図を判読します。
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◎  洞調律です。
◎  P波が2峰性です。
◎  左軸偏位です。(あんまり深く考えません)
◎ aVLで、ST上昇とT波陰転化があります。
 上記も所見ですが、もちろん以下が大切です!
◎  V1-5の著明なST上昇。
◎  V2-4は、Box-likeなST上昇を示している。
 広範囲前壁梗塞の急性期、と判定できます。他の解釈は、ない!!
 心電図が最も得意として、かつ有用な場面です。
 この時の検査結果は、
 *CPK=162、トロポニン-I = 1.91、GOT/GPT=33/16、でした(単位省略)。
 血液酵素学的所見と症状からも、ACSは判定できます。CPK値がまだ高くないことから、また発症経過時間から、緊急PCIの適応を考えられます。
 心電図は、STEMIです。Recanalizationも十二分に考慮されます。
 ただ、社会的背景より、PCIを行うかは、臨床判断が必要かもしれません。
 残念ながら、それを決定する以前に、心破裂による心肺停止が起きてしまいました。心破裂は、心筋壊死が進行して起きる場合と、このように超急性期に起きる場合があります。周囲の正常心筋が、代償性に過剰収縮し、梗塞部を引き裂いてしまうと、思われます。(blow-out type:限局性の線状破裂)
 多くの症例では、突然死となります。この症例も、「アッーーー....」と声を上げるとともに、呼吸停止→EMDとなりました。診断は、心エコーとなります。
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