ECG-138:answer
ECG-138:90才女性の肺炎が、急激にショック様となりました。
後期研修医の主治医は、懸命な処置を行いました。
「水を絞らず」に輸液し、カテコラミンを使用しませんでした。
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結論は、
でした。
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たこつぼ心筋症の心電図で、一番有名なのは、
【GNT:Ginat Negative T(胸部誘導)。日本名〜びっくりT波】
です。
一枚だけ典型的心電図を出せ、と云われたら、私もこれを選びます。
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でも、{たこつぼ}心電図の特徴として、何でもあり!があります。
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急性期の心電図では、V3-6のST上昇が特徴的で、前下行枝のSeg7以後のACSなどを想起させます。でも、心エコーでは、巨大な心室瘤と、心基部の過剰収縮運動が認められます。もし、これがACSならば、CPK>10,000、トロポニン値>20くらいをイメージします。当然ショックで電撃性肺水腫です。
でも、この症例は、max-CPK=400、トロポニン値=3.8でした。
心機能も、経時的に改善しております。
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補液による心不全悪化しましたが、耐えしのぎました。急性期に血管拡張・利尿剤投与を先行していれば、亡くなっていたと思います。
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急性期の心エコーでは、心尖部心室瘤と心基部過剰運動が明瞭です。
流出路狭窄が出現し、HOCM様の病態となっています。
クリックすると、拡大します。
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この症例の心電図を経時的に見ていくと、GNTが出現しました。
クリックすると、ECGが拡大します。
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多くのたこつぼ心筋症は、見つけられることなく発生し、静かに治癒していきます。突然死の原因でもあります(でしょう)。
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この疾患の存在を想起できること。
急性期の対応を、誤らないことが大切です。
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