ECG-168:answer
90才代男性が、突然の一過性意識障害でした。
心電図を判読します。
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* 徐脈です。P波が見えませんが、regularです。
* wide-QRSです。かなり幅が広い。
* CLBBBパターンです。
* V1-3のT波は、陽性で尖っています。
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CLBBBのまま、高カリウム血症と云う診断は、いかがでしょうか?
血清カリウム値は、7.3mEq/Lと異常高値でした。
上記の心電図所見は、もうすぐ心停止しちゃいますよ!との警告です。
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対応を判断する時点で、他の医師が情報を、入所施設より入手しました。
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〇 慢性心不全での加療中。
〇 服薬に、ARB・スピロノラクトン製剤・(ハーフジゴキシン)あり。
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なお、腎機能障害(CKD)がありました。高カリウム血症とジギタリス中毒の両方が考えられ、悩ましい。
* 高カリウム血症の治療は、カルシウム製剤の静注です。
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幸い、血中ジゴキシン濃度は、0.76ng/ml.で安全域でした。
カルシウム製剤の緩徐静注と補液・利尿を計りました。
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二日後の心電図です。K=5.5mEq/L。
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クリックすると、ECGが拡大します。
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P波が戻って、QRS幅もかなり狭くなりました。T波の尖りも消えました。
CLBBBパターンを呈しながらの高カリウム血症は、あんまりお目にかかれません。私も勉強になりました。
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