ECG-245:answer
60才代の男性です。胸のもやもやが治らなくて、受診です。
心房細動は、もともとです。
ST上昇が、顕著ですね、胸部誘導の全てで。
Questionの心電図を見て、診断に戸惑った方は、あまりに幅広い(wide- QRS)の解釈に困ったんだと思います。
【 Broad-anterior AMI with CRBBB & Afib. 】
と考えると、理解出来ますね。
クリックすると、ECGが拡大します。
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* ↑は、ST上昇です。
* ■ は、幅広いQRSを示します。
* ▼は、右室の興奮(late-R’)です。
* ▼は、左室の興奮です。▼より、時相が先行しているでしょう。
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緊急のPCI時の心カテ所見です。
#6での99%狭窄でした。ガイドワイヤの通過性は良好で、幾度かのバルーニングとstent留置を経て、治療を終了しております。色々ドラマがありました。
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きれいな再疎通なのですが、よく見ると、D1の閉塞が起きています。
PCIでは、側枝も出来るだけsalvageするのですが、やはり#6-7-8のメインストリームの救済が、優先されます。残念ながら、少なくとも急性期はD1の閉塞での終了となりました。
心電図の経時的変化を、ご覧下さい。
心房細動は、変化有りません。
PCI後(3rd day)の心電図を、解説します。
胸部誘導のST上昇は、元に戻っています。基本的に、V1-5はQS patternです。V1-3に認められるwide-R波は、CRBBBによる右室ののんびりした興奮波形です。左室の起電力は認められません。
V6にあるwide-S波も合わせると、心室中隔の起電力を失った(=rSR`のイニシャルrが消失した)CRBBB波形である事が、理解されます。
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慣れるとACSの診断は、このERの心電図一枚で確定となるのですが、
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* 心房細動がある。
* CRBBBがある。(wide-QRS)
* 前壁広範囲でSTが上昇している。
と、撹乱因子が多いので、見慣れないと、迷ってしまいます。
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私は、考え込まずに心電図を理解することを、いつもお勧めしております。ERのACSは、ホントに秒単位で判断を求まられます。パターンに目を慣れさせることも、必要です。
要は、多くのACS心電図で目を肥やすことです。
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