heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-245:answer

 60才代の男性です。胸のもやもやが治らなくて、受診です。

 心房細動は、もともとです。

 ST上昇が、顕著ですね、胸部誘導の全てで。

 Questionの心電図を見て、診断に戸惑った方は、あまりに幅広い(wide- QRS)の解釈に困ったんだと思います。

 【 Broad-anterior AMI with CRBBB & Afib.

 と考えると、理解出来ますね。

Ecg245web_2

 クリックすると、ECGが拡大します。

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 は、ST上昇です。

は、幅広いQRSを示します。

 は、右室の興奮(late-R’)です。

 は、左室の興奮です。より、時相が先行しているでしょう。

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 緊急のPCI時の心カテ所見です。

Ecg245pci01web


 #6での99%狭窄でした。ガイドワイヤの通過性は良好で、幾度かのバルーニングとstent留置を経て、治療を終了しております。色々ドラマがありました。 

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 きれいな再疎通なのですが、よく見ると、D1の閉塞が起きています。 

Ecg245pcid1web


 

 PCIでは、側枝も出来るだけsalvageするのですが、やはり#6-7-8のメインストリームの救済が、優先されます。残念ながら、少なくとも急性期はD1の閉塞での終了となりました。

 心電図の経時的変化を、ご覧下さい。 

Ecg245web_3


 心房細動は、変化有りません。

    PCI(3rd day)の心電図を、解説します。

 胸部誘導のST上昇は、元に戻っています。基本的に、V1-5QS patternです。V1-3に認められるwide-R波は、CRBBBによる右室ののんびりした興奮波形です。左室の起電力は認められません。

 V6にあるwide-S波も合わせると、心室中隔の起電力を失った(=rSR`のイニシャルrが消失した)CRBBB波形である事が、理解されます。

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 慣れるとACSの診断は、このERの心電図一枚で確定となるのですが、

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* 心房細動がある。

* CRBBBがある。(wide-QRS)

* 前壁広範囲でSTが上昇している。

 と、撹乱因子が多いので、見慣れないと、迷ってしまいます。

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 私は、考え込まずに心電図を理解することを、いつもお勧めしております。ERのACSは、ホントに秒単位で判断を求まられます。パターンに目を慣れさせることも、必要です。

 要は、多くのACS心電図で目を肥やすことです。

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