ECG-251:answer
=2017/9/8に追記=
この症例で、きれいなS1Q3T3が認められましたが、診断確定は心エコーでした。今回、心電図は病態を語ってくれていますが、確定診断に必須ではありません。念のため、追記します。
本態性血小板増多症の確定診断には、骨髄生検も必要ですが、この症例では、施行されておりません。よって、(血小板増多症)としか、臨床的には云えません。超高齢ですし、困っていませんでした。
二ヶ月程前に、大腿骨頚部骨折の手術歴があります。
DVTは、超高齢者が骨折後にADL低下すると、発生リスクは高くなります。それに、血小板増多症の前提があると、さらにDVTの発生リスクが高まりそうです。
今回と二ヶ月前の心エコー図所見を、比較します。
右房内に巨大な血栓を認め、血流により右室内へ拡張期に吸い込まれています。右心系も拡大しています。(動画参照)
亜急性の肺塞栓で、循環動態が崩れていたようです。
もう一度、心電図の経時的変化を見てみましょう。
* CRBBBベースで、ちょっと見普通ですが、
* 右軸偏位が、強まっています。(右心負荷所見です)
→CRBBBだけでも、+90度までは軸偏位します。
→60日前と比べると、右軸偏位は増強しています。
* T3の所見が出現しており、S1/Q3/T3の所見が、よく見ると揃っていますね。
* V5,6のR波高が低下しています。右心系の拡大の影響下と思われます。
失神・眼前暗黒感・呼吸苦が有るからこそ、この心電図が変に見えるんだと思います。そして、前回心電図との比較が決め手です。
整形外科手術と、(おそらく本態性)血小板増多症が、この超高齢女性でのPTE発症因子だったのでしょう。
CRBBBがあると、気付きにくいのですが=最初私は気付かなかった(-_-;*)=今回、心電図は、語りかけてくれていました。
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(PTE発生の二ヶ月前。心尖部より 4 chmber view)
(PTE発生の二ヶ月前。左室短軸 view)
(PTE発生時。心尖部より 4 chmber view)
(PTE発生時。左室短軸 view)
(PTE発生時。transhepatic描出する view)