ECG020:answer
ECG020:84才女性。12誘導の診断と、不整脈の診断は?
CRBBBに、前壁中隔梗塞が合併しております。これはよしとして、胸部誘導の4番目の波形は?
*ノイズ?⇒V1,2はノイズに見えないこともないけど、V5.6ではその後にきちんと陰性T波もある。ノイズでは無く、きちんとした心室波形ですね。
*SVPC?⇒V5,6では、そう見えないこともない、narrow QRS様ですけど、V3,4は明らかにwide QRSです。さらに、V1,2では洞調律波形とQRSの極性が異なります。また、先行するP'波もありません。素直にPVCと考えましょう。
*でも RR間隔が、4拍目を無視すれば同じじゃない?⇒よって、間入性PVCとなります。確かに、代償性休止期を持たない間入性PVCは、やや珍しく、普通に研修医してても、なかなか遭遇しないかもしれません。でも、生理機能技師さんのように、毎日心電図を記録していると、けっこう見るもんです。
*診断できた時点で、大切な事は、単発のPVCも見ても、治療行動に移ってはいけないことです。抗不整脈薬の投与は、何の利益もありません、と云うか害です。CAST studyで、ググって下さい。
*心配ならば、動悸発作・眼前暗黒感の有無など聞いて、Holter-ECG施行の考えて下さい。
この方は、整形外科入院中に院内発症しました。
発症前の心電図が次です。
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次は、発症直後の心電図です。
超急性期のT波の先鋭化とST上昇が認められます。
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もちろん、すぐに緊急のPCIを施行し、LADにSTENT挿入しました。
治療後(発症後3時間後)の心電図が次です。
胸部誘導のrSR'の r 波が消失しています。前壁中隔の梗塞だからですね。
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