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Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

【コラム-030】 終末期の心電図波形

【コラム】 終末期の心電図波形

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 この心電図は、DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)管理の患者さんでした。
重度認知症・嚥下性肺炎・廃用症候群の末に、永眠されています。
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Photo

クリックすると、ECGが拡大します。
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◎ 14:25に、徐脈となりました。
     P波は、あるんだか、ないんだか、よくわかりません。
     この時、呼吸は停止しました。
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◎  14:31に、著名な徐脈となっています。
      少しQRS幅が、拡がりました。
     脈は、触れません。
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◎  14:33には、画面上に時々、Wide-QRSが出現するだけとなっています。
     この10分後くらいに、ご永眠の宣告が、なされています。
     完全に、心静止になった時に、永眠を告げると、患者さんご家族にはわかりやす
        いのですが、けっこう時間がかかります。
      宣告のタイミングで、苦労された方も、多いでしょう。
      瞳孔散大・呼吸停止・超徐脈のwide-QRSで、蘇生しないのならば、永眠宣告可能
     かと、思います。
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 さて、高齢者の臥床状態の患者さんが、急にこのような波形を呈した場合、すぐに考えるべきは、高CO2血症による呼吸停止です。痰詰まりの場合も、多いんです。
 すぐに、吸引と補助換気を行い、胸骨圧迫(心マッサージ)を行うと、障害をあまり残さずに、回復できる(ことがあります)。
 徐脈が起きた直後ならば、かなり治療反応性は、良好です。
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 この症例は、蘇生の対象外でしたが、ACS(右冠動脈の閉塞)を考えるより、上記病態を、真っ先に考えた方が、たぶんリーゾナブルです。
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