ECG-076:answer
ECG-076:意識障害・脱水状態で、ERに搬入された3例の心電図でした。
結論は、
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◎ 解答1:高カルシウム血症の心電図でした。
◎ 解答2:QT/QTc時間では、高カルシウム血症の Rule In / Rule Out 両方ともできません!
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なんか、トホホの結果でした。
過去三年間分の当院ER経験した高カルシウム血症の症例をPick Upして、心電図と照らし合わせました。全てカリウム値の以上はありませんでした。アルブミン補正してもちゃんと高カルシウム血症でした。症例1〜3は、10〜14mg/dLレベルです。ちなみにQTcは、400msec.くらいです。
他の症例でも、同様でした。
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丸善・ジュンク堂・紀伊國屋と医学書を扱う本屋さんで、心電図本を調べてみました。十数冊の本の中で、、高カルシウム血症の心電図(QT短縮)の実物を載せていたのは、数冊のみ。QT/QTcが短縮するとのみ書いてあったのと、QT/QTcが短縮する解説図を載せたのが、それぞれ数冊でした。
載っていた心電図は、20代の副甲状腺機能亢進症でした。もとが正常な心電図に単純に高カルシウム血症が発生している、とても美しいQT短縮の心電図でした。
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QT/QTc短縮は、即不整脈として命の危険はありません。補液/利尿と、ビフォスフォネート製剤の使用で、血清カルシウム値を下げれば良いだけです。
心電図は、意識障害/脱水で来た患者の血清カルシウム値の推定には、使えないようです。感度・特異度悪すぎます。
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【きれいな高カルシウム血症の心電図は、本の中にしか存在しない】
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ずいぶんな、結論でした。トホホ。
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念のため、お師匠様にも、お聞きしてみました。
返事は、『心電図で、高カルシウム血症を診断しようとするのは、煩悩です』
でした。。
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高カルシウム血症で、QT/QTc短縮が発生する理論的根拠と、その限界については、コラムでご説明しますね。
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